■簡易的な波形モニターとしても使用できる
本来ビデオ機器を測定するには,正確な信号発信機と波形モニターが必要になるが,PVRに添付されているテストパターンとAnalyzerを使うことで,簡易的な信号発信機や波形モニターとして使用できる。
PVRに添付されているテストパターンとAnalyzerを使って,9月号特集のビデオキャプチャ再生ボードの波形テストに使用したのと同様の波形を測定してみよう。筆者が使用している波形モニター「Parsonal
V-Scope」も合わせて使用した(図12)。Parsonal V-Scopeは,PVRと同じDPS社の製品で,AMIGAまたはDOS/V機のISAバスにインストールして,ソフトで制御する。波形は,NTSCモニターの画面に映し出される。
筆者はオプションのコントロールボックスRC-2000(図13)と一緒に使用している。これを使うとNTSCモニターに映像信号と波形モニターを切り替えながら表示できるので非常に便利だ。コンポジット信号しかモニターできないが,信号管理にはこれで十分だと思っている。
図12を見ると,かなり特性がいいことが分かる。これは,添付されているマルチパーストのデータが非常にきれいにディジタル化されているからだろう。もちろん,PVRの回路特性とAnalyzerの性能もいい。
ところで,9月号ではビデオを入力し圧縮/伸張後,出力を行う1連の処理の中での信号特性の劣化を見るためにマルチバーストのテストを行ったわけだが,ここで簡単にテストの見方を補足しよう。9月号で使ったマルチパーストの波形は左から0.5,1.25,2.0,3.0,3.58,4.2MHzだ。どの辺の周波数の振幅が小さくなるかで,回路の周波数特性を見ることができる。周波数が上限までフラットに伸びていればそれだけ解像度が優れている。放送規格であるNTSC信号は3.579545MHzプラスマイナス10Hzであるから基本的には3.8MHzまでフラットであることが望まれる。当然それ以上の帯域を持っていれば,ダビング編集などを繰り返しても有利と言える。この辺のことを参考にして,9月号の特集をもう一度見ると分かりやすいかもしれない。
さて,波形のことは,これくらいにして,実際のビデオキャプチャに移ろう。
ビデオキャプチャの際に,別売のPVR-422アダプタ(図14)を使うとパソコン側からVTRをコントロールできるようになり,バッチディジタイズも可能となる(図15)。編集コントローラなどからトリガー信号を入れて,PVRの再生,停止を行うこともできる。VTRエミュレーションモードを使用すれば,再生・停止・ジョグシャトルなどをVTRや編集コントローラから制御できるようになる。これを利用すれば,1台のVTR(例えば,ベータカムVTRのPVW-2800など)からPVRをコントロールし,VTRテープの必要なタイムコードの位置に正確にビデオをインサートすることも可能になる。ABロール編集に利用すれば,完全にVTRと同様に使うことができるようになる。これをTrinityのシステムに組み込んだら・・・と考えた人は多いはずだが,残念ながらこれは現在ではうまく行かないらしい。どうもタイムラグがあるらしいのだ。
今回はPVRの設定からディジタイズまでを話したが,次回はPremier5.0Jを使った編集の話をしたい。優れもののフィルタの話もできると思う。こうご期待。なお,このコーナーヘの質問やご意見があれば編集部宛てにどしどしお寄せいただきたい。僕の主催するWebでも質問を受け付けているのでちょっと覗いてみてほしい(http://www.b-artist.com)。では,また次号で。
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