映像制作


●フィルター

 ブリュワー、ソフト、シャープなどさまざまなエフェクトが装備されている。

●グロー(図1)

 レンズフレアやハイライトホットスポットをつくり出すグローエフェクト。ハイライトなどの部分にも付加することが可能で、スレッショールドレベル、ブレンドポイントの数、光の強さと角度なども自由に設定できる。

●モーションブラー

 直線的、放射状、球状などさまざまなモーションブラーを装備。長さ、方向かけ具合など完全なコントロールによってよりリアルな映像を作成できる。

●マスク

 円、長方形、多角形などを含むマスクはどのエフェクトにも使用できる。そして、それぞれ単独にソフトエッジや透過度を調整が可能だ。加えてペイントモードではそれぞれの形状に対してリプレイス、付加、マキシマム、アベレージなどのオプションを選択することができる。これらのマスクはすべてモーションパスやトラッカーを用いるアニメーション機能をもっている。

●ディスプレー

 どの段階でも結果は簡単に1〜3つのプレビューウィンドウ(Small、Large、Perception〔またはそれに代わるDPSのボード出力〕)でプレビューできる。オプションとして、ズームイン・ズームアウトも用意されており、これらはすべてフルカラー、アルファマット、すべての独立したシーケンスの表示が可能だ。また、マットはオプションで選択した色でオーバーレイ表示でき、タイトルセーフティやモニターセーフティエリアをオーバーレイすることも可能。プレビューはまたビデオ画像のフルレゾリューションにリサイズすることもできるようになっている。
 つまり、3つのプレビュー場面に別々の段階の映像を表示でき、しかもαチャンネルを見たり、ブルーチャンネルを見たり自由なので、効果のかかり具合をいろんな角度で確認しながら進めることができる。これはAftter Effectsに比べて大きなアドバンテージだ。

■実際の操作

 では、簡単に実際の操作に触れてみよう。
 映像のロードはRoderを用いて行う。まず、左上のRoderのアイコン(図8)をFlow Layout上にクリックアンドドロップすると、Flow LayoutにRoderが現れる。
これをダブルクリックすると、右側のFunction ContoroIsウィンドウ上のRoderのコントローラーが開くので、ここでBrowserを使って画像の入力を行う。入力するとFlow Layout上のアイコンに映像が現れる。
 同様にブルーバックの映像をロードし、ブルーバックに対してクロマキーを施す。それらもミックスするにはMergeを使用する。最終画像はSaverを使って保存する(図9)。
 ここで、クロマキー合成をする場合を詳しく見てみよう。Dlgital Fusionは先にも述べたようにクロマキーに対してαマスクを作成する(図10)。これらはプレビュー場面を使い分けながら確認できるのでかなり便利だ。また、抜けの悪そうな場合でもガンマ値を調整してやるとされいに抜くことができる。これは図10と図11を比べればはっきりする。


図8●Roderのアイコン


図9●ブルーバックの映像をロードし、ブルーバックに対してクロマキーを施す。最終画像はSaverを使って保存する


図10●クロマキーNG抜け


図11●クロマキーOK抜け

■総評

 実のところ、Digital Fusionを使ってみて最初はなんだか使いにくかった。これは、After Effectsなどのタイムラインベースの編集システムに慣れていたためだ。しかし、使い込んでいくうちにインターフェースにも慣れDigital Fusionの良さもわかってきた。まず、一番使いやすいのは、プレビュー画面にいろんな過程を別々に表示でさる点だ(図12)。これにより、エフェクト効果をいろんな角度から確認することができるのだ。おかげでとてもスムーズに操作を続けることがでさた。しかしその反面、それぞれのエフェクトが時間軸でどのように関係しているのかを知るには、おのおのの設定パネルを開いて確認するしかない。しかしこれも現バージョンまでで、つぎのバージョンからはタイムラインの編集パネルも表示されるらしい。これにより画像の関わり万が一目際然に見渡せるだろう。
 そして、もっといい知らせがある。というのはDiscreet Logic社のFLINTやFLAME用にプラグインフィルターをつくっている5D(ファイブ・デイー)社(http://www.dircon.co.uk/5d/)からFLINTやFLAMEとまったく同じフィルターがDlgital Fusion用に販売される予定だ。その名もMonster(図14)。これは10のBoxからなっておりそれぞれ個別に購入できる。またインターネット上でアップデートを行える。うれしいことに価格もかなり抑えられているようだ。これでついに、FLINTやFLAMEの機能をNT上に手に入れることが可能になるのだろうか。
 いずれにせよ、完成度からいうと現時点ではAdobe After Effectsに歩があるのも事実だ。しかし、Digltal Fusionはまだまだ進化している段階だ。先にいったMonsterなどのプラグインが充実し、うわさされるペイント横能が搭載されれば、AfterEffectsにはない魅力をもったソフトに仕上がるだろう。FLINTやFLAMEとまではいかなくとも、かなり使えるソフトに仕上がることは間違いない。そして、Windows上の他のソフトと連携をとることで操作上それを上回るかもしれない。


図13●ファンクションコントロール


図12●プレビューは多彩な形で表示が可能


図14●Monster。FLINTやFLAMEとまったく同じフィルターでDigital Fusion用に5D社から販売される予定

■最後に

 現在、筆者はCG制作にはWindowsNTマシーンを中心に使用している。しかし、複雑な画像処理にはMacのAfter Effectsを使用している。したがってノンリニア編集もいまのところMacで行っているのが現状だ。もし、Digital Fusionなどの画像ソフトがNTマシーン上で方ンガン走るようになれば、ノンリニア編集機もNTマシーンに移行するだろう。
 そして、7月には話題の新製品play社(http://www.play.com/)の『Trinity』がついにデビューする予定だ。もちろんこれはWindows上で動作する。この『Trinity』によって今世紀のDTVの歴史に1つの金字塔が刻まれることになるかもしれない。しかし、デジタルビデオを使っている層はかなり広がっている。『Trinity』がハイエンドを目指す人たちを納得させられるかはいまだ未知数である。今後もおもしろいデジタルビデオの世界だ。これからはWindowsNTがおもしろくなりそうだ。

ビデオアルファ1997年7月号