映像制作


LightWave 3D(以後LW 3D)はいろんな雑誌でも紹介され、認知度もすっかり定着したようだ。それに伴い、ユーザー数もかなり伸びているらしい。この価格帯で本格的なアニメーションまでできることを考えると、納得できる。  さて今回、LW3Dのバージョンが5.0から5.5ヘアップし、いままで見慣れたインターフェースも一新された。また、数種類の特殊効果プラグインを装備したりなど、ますます強力になった。それに伴い価格もver.5.0の¥21万8000からver.5.5の¥28万8000へとアップした。最近ではハイエンドのCGソフトが価格を下げた話は聞くが、上がったソフトはおそらくLW 3Dが初めてだろう。これは、自信の現れか、資金調達のためか…?とにかく、新しくなったところをレポートしよう。
表1 動作環境と価格

■レイアウト・モデラー共通部分

AMIGA時代から慣れ勤しんできたインターフェースが全体的に一新された(図1、図2)。以前に比べ、 ちょっとけばけばしい色調になったように思うのは筆者だけではあるまい。しかし、インターフェースの色の設定など、自分オリジナルのインターフェースヘつくり替えることができるようになっているので、もっと落ち着きある色にすることも、派手にすることも可能だ。筆者の場合、いろいろ試したが、結局デフォルトに戻してしまった。  さて日本語版の場合、メニュー表示の日本語表示が可能となったのも大さな特長だろう。初めてLW3Dを始める人にとっては日本語表示ができることは非常に良いことだと思う。しかし、万人にとって日本語化はすべてありがたいともともいいがたい。たとえばメニューのSurfaceが『サーフェース』ならまだわかるが、『色・表面』となっているので、英語表示に慣れた人には一瞬戸惑ってしまうことがあるからだ。しかしそのような人は、英語表示に切り替えて使用することもでさるので非常にありがたい。


図1 レイアウト

図2 モデラー
■レイアウト
 レイアウト上での大きな変更点は、まずレイアウトからモデラーヘの切り替えがワンタッチで行えるようになった点だろう(図3)。このあたりは本来AMIGA版では可能だったことが、Windows版でもやっと可能になったというところだろう。  操作面でもいくつかの変更が加えられている。たとえばいままで、View画面を移動や回転などする場合に、カメラや、オブジェクト同様にEditボタンをViewモードに切り替えてから行っていたが、今回からView変更はカメラやオブジェクトなどとは独立して使用することが可能になった(図3)。  また、ver.5.0まではアニメーションの確認にはMakePreviewが必要だったが、レイアウトに再生、停止、逆再生ボタンが設置され、ダイレクトに再生確認が可能となった(図4)。これは最近のマシーンパワーやOpen GLボードの進化に伴い、リアルタイム表示が可能になったためだろう。  また、Undoボタンで移動回転などのMouse操作を1回だけアンドゥ、リドウができるようになった。これもありがたい。
図3 レイアウト、モデラーの切り替えがワンタッチで行える。
また移動、回転、拡大・縮小などのView変更も独立して
使用することが可能

図4 再生、停止、逆再生ボタン

●レンダー(Render)パネル

出力の設定を行うRecordパネルがレンダー(Render)パネルとなり、一部の設定項目がCameraパネルから移行された(図5)。  このレンダーパネルを見ると、レンダリング出力にRender GLという出力が加わった。これはIntergraph社の提唱するRender GL対応のビデオボードを使用した場合、ハード側のアクセラレートを使用してレンダリングスピードを驚異的にアップすることができるというものだ。最高で50倍ものスピードアップの報告もあり、CGアニメーターにとってはとても気になる存在である。しかし、Render GLはOpen GLを拡張したライブラリーなので、すべての設定においてアクセラレートでさるというわけではない。  したがって、レンズフレアなどの特殊効果では使用することができない。いい換えれば、使用目的をはっきりすれば、劇的な作業効率を生むことができる。現時点ではIntergraph社のRender GLボードならすべて対応しており、他社Render GLボードの対応も期待されている。残念ながら、手持ちのOpen GLボードがFire GL-1000のため、Render GLの性能は確認することができなかった。ちなみにFire GL-1000でRender GLレンダリングを行ったところ、LW 3Dがフリーズしてしまった。  また、Raytrace使用時の反射回数が従来16回固定だったのが、Ray Recursion Limitで0〜24回まで設定することが可能になった。これにより、必要最小限の回数をセットすることで、レンダリングスピードを上げることが可能となる。  そして、忘れてはならないのが、マルチスレッドに対応したことだ。これによりマルチCPU使用時にレンダリングの高速化を図ることができる。


図5 レンダー(Render)パネル

●オブジェクト(Object)パネル

 Unseen by cameraによりオブジェクトをレンダリングせず、影や反射の影響はそのままレンダリングすることができるようになった(図6)。


図6●オブジェクト(Object)パネル
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ビデオアルファ1997年11月号