映像制作


素材映像の撮影
第3郭で使用する素材用映像の撮影は、スタジオ1日、ロケ1日で行った。スタジオはハウススタジオを借り、吹き抜け部分を利用して、クロマキー撮影もここで行うことにした。
 まず、撮影1日目はハウススタジオでミュージックビデオ部分の全カットと、クロマキー撮影を行った。ここでかなりのカットを撮る予定だったが、2本分の撮影をするにはかなりタイトなスケジュールのため、いくつかカットの撮影を断念した。しかし、映像素材用としては充分だと判断した。
 2日日は地下鉄構内と原宿表参道での車の走りと、有明に移動してロケを行った。夜のシーンでは突然雨が降り照明ランプが割れるというハプニングが起きたが、雨のおかげで路面が濡れ、いい雰囲気の撮影ができた。


本番前のメークの様子


ハウススタジオの吹き扱け部分を利用したクロマキー撮影


前ページ同様16mmFilmで撮影した映像素材
編集使用機材とPremiere5.0での編集では困ったことが起きた
テレシネした映像素材をTRUEVISION TARGA200CDTXを使い編集し、これを元に再度編集していく過程をスタジオ収録する。このとき、パソコンのRGB映像はダウンコンバーター・クロマテック9122を使ってベータカムSPに収録する。ここでできた素材をリアルタイムエフェクトの行えるReelTimeを使用してオンライン編集して完パケをつくる・・・というのが当初の予定であった。
 しかし、実際に編集作業に入ったとき困ったことが起きた。Premiere5.0がTARGA2000DTXでうまく動いてくれなかったのだ。ソフトが不安定で落ちてしまう。筆者の使っている自作PCマシーンが悪いのではないかと思って、メモリーを増やしたりいろいろやってみたがやっぱりダメ。この際もう1台増やしてしまえとばかり新しく組み立てたPCマシーンでもうまく動作してくれなかった。調べてみると、結局ドライバーがPremiere5.0に対応していなかったのが原因だった。
 おまけにもっと因ったことが起きた。レンダリングするとないはずの映像がレンダリングされている。どうもPremiere5.0のバグのようである。しょうがないから、アドビシステムズから内緒でお借りしたPremiere5.1β版を使用することにした。しかし、これにも落とし穴があった。途中まで作成して気づいたのだが、β版のためテキスト機能が付いていなかった。仕方ないので元のPremiere5.0に戻ろうとしたら、Premiere5.1のデータは5.0では読むことができなくなっていた。なんということだ・・・というわけで途中までつくり込んだデータをすべて破棄し、再度つくり直すことになった。
 そんなわけで、編集作業に入ってからかなり時間を要してしまった。結局、フォーカルポイントコンピュータさんからお借りした機材を返却する必要もあり、実際には編集術のためにTARGA2000DTX、TARGA1000、ReelTime、PerceptionVRなどいろんなマシーンを使用するはめとなった。
 また、最終的なビデオパッケージの編集にあたっては、オフライン編集をPremiere5.0を使用して行い、オンライン編集は一部を除いてテープ編集で行うこととなった。これで当初描いていた編集費の削減は夢と破れた。
 昨年暮れから今年の1月までのこれらのできごとは、Premiere5.0が出荷されて間もなかったために起きた、悪夢のようなできごとであった。あれから1、2ヶ月ほど経っているが、たったこれだけの期間に各ビデオボードのドライバーは安定し、バージョンアップされたPremiere5.1も安定して動作するようになっている。また、リアルタイムエフェクトを可能にしたPremiere5.1RTもReelTimeやDigiSuite LEで安定動作しているようだ。
本当にあの日々はなんだったのだろうか?

筆者の編集風景

今回制作した「Promiere5.0によるノンリニア点集完全制覇」
(¥5800)。直販形態を採っているので、購入したい方は
日経BP涜者サービスセンターまで…

■最後に

 そんな過程で完成した『premiere5.0によるノンリニア編集完全制覇』であるが、本編で説明する編集術に基づいて最終的に完成したミュージッククリップはビデオの最終部分で見ることができるが、この部分はオフライン編集からオンライン編集まですべてPremiere5.0とノンリニア編集機で行ったものである。なにはともあれPremiereでここまでできるようになったことはすばらしいといえる。
 ただ残念だったのは、ビデオの尺の関係で映画予告編風の制作の過程を解説できなかったため、撮影した映像は本編のオープニングに使用した。今後、高度な編集テクニックのためのビデオを作成するなどの機会があれば、これらの映像を使用してお届けすることになるだろう。


 さて、今回のビデオ『Premiere5.0によるノンリニア編集完全制覇』(¥5800)を日経BP社のご厚意で、抽選でご希望の方3名にプレゼントできることとなった。ご希望の方は巻末のアンケートはがきに「ビデオ希望」と明記のうえ、編集部宛に送っていただきたい。また、購入したい方は日経BP読者サービスセンターに直接お電話していただきたい。

問い合わせ先:日経BP読者サービスセンター TEL03(5696)1111
ビデオアルファ1999年4月号