新しく加わった強力なエフェクト
 ワーピングなどのエフェクト類もかなり強力になった。パーティクルエフェクトが追加され,制作できる映像の幅が広がった。

■ワーピングエフェクト
 ワーピングエフェクトは画像を変形させる,いわゆるモーフィング効果などを得るエフェクトだ。After Effects4.0ではワーピングエフェクトとしてベジェワープ,メッシュワープ,にじみ,リシェープの4種類がある。ただし,にじみ以外はProバージョンでのみサポートされている。
●ベジェワープ
 ベジェワープ(図A)は1つのイメージに12個のコントロールポイントを適用することで,コントロールポイントを移動したり,ベジェ曲線を使用して形状を変化できる。
●メッシュワープ
 メッシュワープ(図B)はイメージエリア内にメッシュ状にグリッドを配置し,このグリッドをベジェコントロールすることでワーピングすることができる。ベジェワープよりも広い範囲をワーピングでき,行と列の数を指定することでコントロールレベルを細かく調整できる。
●にじみ
 イメージに描いたマスク(ベジェ曲線)を利用してワーピングするエフェクトの一種。1つのマスク(ベジェ曲線)を指定しそのマスクに位置,回転,大きさの変化を付けることでマスクの影響エリアをワーピングすることができる。この時,ワーピングの影響するエリアを任意のマスクで設定できる。
●リシェープ
 リシェープ(図D)はイメージに描いたマスク(ベジェ曲線)からほかのマスク(ベジェ曲線)へ形状を変化させられる。1つのイメージにいくつものリシェープ効果を付けることで複雑な表現が可能。

■パーティクルプレイグラウンド
 新しいエフェクトの目玉の一つがパーティクルプレイグラウンド(図E)だ。蜂の群れや花火,爆発,雨,雪,炎などのように個別に動きながらグループとして一貫性のある動きをするオブジェクトをアニメーションすることができる。
 実際の作業では,設定からプレピューまでの時間がかなりかかることもあり,慣れるまでは設定の難しいエフェクトの1つだ。

■レンダーエフェクト
 イメージにマスクとして描いたベジェ曲線をエレメントとして利用し,このラインに色を付けたりオブジェクトの塗りつぶしを行える。そのほか,レーザービーム,読み込んだオーディオファイルを利用したオーディオウエーブフォーム(波形)など独自のアニメーション効果を得ることができる。特にオーディオウエーブフォーム(図F)やオーディオスペクトラムはオーディオの波形変化を反映したアニメーションを作れるので,いろいろな利用の仕方が楽しめそうだ。

■パステキスト
 マスク機能を利用して任意のパスに沿ったテキストのアニメーションを制作できる(図G)。面白いテキストアニメーションが容易にできるようになった 。




図A●ベジェワープ12個のコントロールポイントで変形する。




図B●格子を変形させることで画像を変形できるメッシュワープ




図C●イメージに描いたマスクを利用してワーピングする「にじみ」






図D●リシェーブ
マスク機能を使ってAマスクの形状(上)から
Bマスクの形状(右)ヘワーピングする。




図E●パーティクルプレイグラウンド
パーティクルの設定はかなり細かいので,慣れないと難しい。


図F●オーディオウェーブフォームこれは,かなり使えそうだ。

図G●パステキスト
パスに沿ったテキストのアニメーションを制作できる。

●新規オーディオエフェクトが追加され,オーディオ機能も向上

 After Effectsは3.0からオーディオを扱うことができたが,お世辞にも扱いやすいとは言い難かった。今回のバージョンでは,オーディオエフェクト機能が充実した。特に,Premiereのオーディオフィルタが使用できるようになったので,サードパーティ製の各種プラグインも使える。何より,スクラビング機能が大幅に高速化されたので,オーディオのプレピューや編集の操作性が向上したのはうれしい。  


 以上,簡単にAfter Effects4.0の新機能について見てきたが,地味ながらも確実に使いやすくなった点は十分に評価できる。
 しかし,今回からProバージョンの価格が改正され4万円も高くなってしまった。これから仕事用で導入しようとしていた人にはつらいかもしれない。
 最近ではディスクリート・ロジックのeffect&paintやDPSのDigital Fusion2.5など,手強い競合製品が登場してきている。これらのソフトは,3次元での合成ができたり,3次元CGソフトのZバッファを利用できたりと非常に強力だ。After Effectsは,今のところこうした3次元処理はできないが,今後は3次元処理を念頭に発展していくことになるだろう。

日経CG1999年4月号
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