●応用範囲の広い矩形/楕円領域 DVRex-RTのビデオフィルタの中でも特に面白いのは矩形/楕円領域だ(図9)。これは矩形または楕円の枠内,枠外に上記のフィルター効果を別々にかけることができるもので,大きさと位置をモーションパスとしてキーフレーム設定できるようになっている。動く車のナンバープレートにモザイクをかける,といったことが簡単にできる。応用範囲は広いだろう。今まで,このような機能はノンリニア編集ソフトにはなかっただけに非常に役に立つことは間違いない。 |
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(4)ピクチャーインピクチャー(PinP) PinPもリアルタイムにできる。縦横比率を変えてもリアルタイムに処理してくれる。ビデオフレームの周辺部は自動的にクロッピングされるので,不要な黒味が現れることもない。また,映像回りにエッジや影を設定したり,PinP画像の出方,消え方(スライドイン・アウト,ズームイン・アウト)を設出できるので効果的な表現が増えそうだ(図10)。欲を言えば,元画像よりも大きくズームインできればもっと面白い効果が作れると思う。 |
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(5)ルミナンスキー ルミナンス(輝度)による簡単なキー合成もリアルタイムに行える(図11)。リニアカーブやサインカーブを用いてキーフレーム設定でき,ビデオフィルタやPinPと同時に使えるので,ビデオフィルタやPinPの補助的効果としても利用できる。 |
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(6)オーディオフィルタ 強力なオーディオフィルタがすべてリアルタイムに処理できる。 |
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●必要なマシンパワー DVRex-RTは,RT EngineとPCのCPUパワーによりリアルタイムエフェクトを可能にしている。カノープスでは,十分なリアルタイム処理を行うために256Mバイト以上のメモリーとPentiumIII500MHz以上のデュアルCPUを推奨している。しかし,同時に使用するリアルタイムエフェクトの数によってはシングルCPUでも十分使用できる場合もある。詳しくはカノープスのホームページに掲載されているCPU別動作状況を参考にしてもらいたい。 |
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●DVXPLODEによる高速3Dエフェクト処理 カノープスが99年4月から販売しているRex fxは,ボードに搭載されているチップの力を借りて3Dエフェクト処理を高速化させる製品だが,99年12月にDVXPLODEとなり,ビデオボードを一新してさらなる高速処理が可能になった。Rex
fxはビデオチップにnVIDIA RlVA TNTを使用していたが,今回のDVXPLODEは,nVIDIA RIVA TNT2を搭載している。また,VRAMも従来の16Mバイトから32Mバイトに増えており,ビデオ表示能力も向上している。おまけに価格もRex
fxの9万8000円から5万9800円に引き下げられた。 |
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DVRex-RTはビデオ編集ソフトRexEditの持つ簡単な編集操作にリアルタイムエフェクトが加わり,さらに操作感が向上したと言える。しかし,RexEditは単純な編集にはいいが,複雑な編集の場合に繰作しずらいこともある(正確なフレーム位置へ画像を挿入する操作など)。今後は,この辺の改良を是非行ってもらいたい。また,Premiereを用いた編集時にもリアルタイムエフェクト編集ができるとうれしい。 DVXPLODEは,DVRex以外のノンリニアシステムでも使用することが可能なので,パソコンのビデオカードを一新する時に導入すればかなりお買い得かもしれない。400種類以上のカスタマイズ可能なエフェクトが高速化できるので,コストパフォーマンスは高い。 |
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日経CG2000年1月号 | ||||
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