■Video Action NT

 Windows95およびWindows NT(DEC Alphにも対応)上で稼動する映像編集・合成ソフト(図4)。Video Actionは,もともとStar Media社が開発した製品だが,Star MediaがDPSに買収されたので,現在はDPSの製品として販売されている。
 Video Actionの特徴は,200種類を超えるトランジション・エフェクトが搭載されているため,表現力が非常に豊かなことだ。各種キー合成,3次元DVE,日本語タイトル機能が標準で装備されている(図5)。インタフェースは,Premiereの前バージョンに似ているが,前バージョンのPremiereと比べるとVideo Actionの方が使いやすい。デュアルストリーム対応のハードウエアにも対応している。オプションで,テロップソフトのlnscriber CG日本語版が利用できる。


図4●Video Action NTの画面(左)
図5●Video Action NTのトランジションピューワ (右)

■Speed Razor Mach4.0

 In:SyncのSpeed Razor Mach4.0は本格的な映像編集・合成ソフトとして人気があるソフトだ。発売当時から,Perception VR(略称PVR,DPSのビデオ圧縮/伸張ボード)のPDSファイルを直接扱えるのでPVRユーザーには特に人気が高かった。
 Speed Razorは,Premiereの前バージョンに似たレイヤー構造のインタフェースを採用している(図6)。バージョン4.0ではこのインタフェースに磨きをかけ,操作性が向上した。モニターウィンドウをいくつも置けるので,エフェクト前後の確認や,多くのトラックの確認ができるのは便利だ。
 デュアルストリームに対応したMach4.0RTも販売されている。これは,デュアルストリーム対応のハードウエアに対応している。日本版にはテロップソフトのInscriber CG LE日本語版が付属するので,本格的なテロップ入れも可能だ。


図6●Speed Razor Mach4.0のコーザーインタフェース

■Media Studio

 インテル系のWindows95,Windows NTで稼動するコンシューマ向け映像編集・合成ソフトだ(図7)。低価格ビデオ圧縮/伸張ボードに同梱されている機能限定版を入れると,意外に多くの出荷本数がある。


図7●低価格なボードによくバンドルされているMedia Studio

■Strata Video Shop4.0

 Macintoshで稼動するコンシューマ向け映像編集・合成ソフト。このVideo Shopは元々DiVA社の開発だが,Avidを経てStrataに買い取られ,現在は,Strata Video Shopとなっている。価格的にも手頃なので,簡単な編集をするのにはいいかもしれない(図8)。
 目新しい機能として,Quick Draw3DによりQuickTimeムービーに追加された3Dオブジェクトの形状,動きの情報をサポートしていることが挙げられる。これらはVideoShop4.0のインタフェース内の3Dトラック,トウィーントラックに取り込まれ,編集することができる。


図8●Strata VideoShop4.0の画面

■Radius Edit2.0

 Radius Editのバージョン1.0は,Radius社の「Video Vision Telecast」と呼ぶノンリニア編集システムにバンドルされて登場した本格的映像編集ソフトだ。
 Avidのハイエンドノンリニア編集システムMedia Composerを意識して作られたようで,今までのビデオ編集に慣れた人には非常に使いやすいインタフェースを持つ。ビデオのソース映像(素材映像)とプログラム映像(編集後の映像)をモニタリングすることで,従来のテープを使ったビデオ編集の感覚で編集を行うことができる(このモニタリング機能はPremiere5.0でも採用されている)。
 その後,ノンリニア編集システム「Video Vision PCI」にもバンドルされるようになり,バージョンが2.0(図9)となった。現在,Radius社はDVノンリニアシステムに力を入れており,DVノンリニア用の「MotoDV」に対応したRadius Edit2.0も販売されている。
 操作性も良く,本格的なテロップ機能も標準装備しているが,リアルタイムエフェクトや高速エフェクトには対応していないのが残念だ。


図9●Macintosh用のノンリニア編集システム「Video Vision」にバンドルされるRadius Edit2.0

■Avid MCXpress

 ひとことで言うなら,Media Composerの廉価版である。MCXpressはしばらく前まで,Mac版とNT版が存在していたが,現在Mac版はAvid XPressと名前が変わった。基本的にNT版(図10)はソフト単体でも購入できるが,Mac版(図11)はシステム販売になる。
 いずれも,ビデオ圧縮/伸張ボードとしてTruevisionのTARGA2000シリーズを使用する。デュアルストリーム対応のTARGA2000RT/DTXとMCXpress RTとの組み合わせで,リアルタイムエフェクトにも対応する。
 ソフトウエアはNT版とMac版は若干異なるが,AVID Media Composerの血統を引き継いだインタフェースの出来は非常に良く,操作性も良好だ。


図10●Windows NT用のMCXpress(上)
図11●Macintosh用のAvid Xpress (下)

■Media100

 AvidのMedia Composerシリーズに対抗して登場したのがMedia100だ(図12)。
 Media100は,圧縮/伸張ボード(Vincent601)と専用ソフトにより構成されたMacintoshベースのノンリニア編集システムである(Mac本体は別売り)。専用編集ソフトを使うことで,操作性の良いシステムになっている。現在では,ハードウエアのVincent601単体でも,Media100QXとして販売されている。


図12●Media100の画面

■DiscreetLosic Edit

 D-Visiont社が開発発売していたWindows NTベースのノンリニア編集ソフトD-Visionのこと。ハイエンド画像合成ソフトFlameやFlintで有名なDiscreet LosicがD-Visionを買収したため,製品名称がEditに改名された。
 Editは,ハイエンド向けのノンリニア映像編集ソフトである。Truevision社のTARGA2000RT/DTXやMatroxのDegiSuiteを使用すればリアルタイムエフェクトも可能になる。DegiSuiteにより,ロスレスの高画質な編集システムを組むことができる。


 今回はノンリニア編集システムにおける非圧縮高画質データの有用性と,現在販売されている主なノンリニアシステム用の映像編集ソフトについて簡単にお話した。ソフトウエアについては,次号から順次詳しく紹介していこうと思う。
 ハードウエア(ビデオ圧縮/伸張ボード)については,9月号で徹底的に比較した特集を組む予定なのでお楽しみに。
 なお,このコーナーヘの質問やご意見などあれば編集部宛にどしどしお寄せいただきたい。僕の主催するインターネットのWeb上でも質問を受け付けているのでちょっと覗いてみて欲しい。

日経CG1998年7月号
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