山田浩之
Yamada Hiroyuki

プロデューサ,
デジタルクリエータ

TV番組制作会社でTV番組,CM,イベントなどのプロデューサを経て独立。映像,CG,CD-ROM,Webなどのマルチメディア制作会社B-ARTISTを設立。現在B-ARTIST代表取締役。映像,マルチメディアのプロデュースのほか,自らディジタルビデオや3次元CGをクリエイトする。その傍ら,ディジタルビデオやCG関連の評価,試用レポートを執筆。PCを自作するなど大の機械好きである。

 日経CGでは,日経ビデオシリーズの第一弾として,「初心者からプロまでのデジタルビデオ基礎講座Adobe Premiere5.0によるノンリニア編集完全制覇」を製作した。
 今回のDIGITAL VIDEO WONDERLANDでは,製作にあたった筆者の山田氏によるビデオの製作記をお届けする。
 日経CGの読者の皆さん,新年明けましておめでとうございます。
 昨年末は,仕事の都合で数回休みをもらった。楽しみにしていた方,ごめんなさい。でもご心配なく。「DIGITAL VIDEO WONDERLAND」は今年も続きます。
 今月号から,本誌の装いも新しくなったようだし,今年もさらに気合いを入れてがんばろうと思っている。せひ応援してほしい。
 今年は,もっとハイエンドのノンリニアマシンやビデオ撮影についても話していこうと思う。また,休載中にもいくつかメールで質問をもらったが,これらの質問にもできるだけ多く答えていこうと思っている(すべてには答えられないかもしれないが,その時はお許しを・・・)。
 さて,新年トップは筆者が現在編集作業に追われているセルビデオ「Adobe Premiere5.0によるノンリニア編集完全制覇」(日経BP社刊,5.800円)の話だ。
 すでに,本誌の広告でご存知かと思うが,日経CG編集部では日経CGビデオシリーズの第一弾として「初心者からプロまでのデジタルビデオ基礎講座 Adobe Premiere5.0によるノンリニア編集完全制覇」を制作した。初心者から映像のプロの人にまで役立つように,ビデオやコンピュータ,ノンリニア編集の基礎をやさしくまとめたものだ。Adobe Premiere5.0を使って,実際の編集作業も詳しく紹介している。
 このビデオで,手っ取り早くディジタルビデオを理解してもらえればと思う。では,ビデオの販促も兼ねて,具体的な内容を紹介しよう。

ユーザーの生の声を紹介

 ビデオは,3部に分かれた贅沢な構成になっている。
 築1部では,CGプロダクション,学校,大学病院,デザイン,映画のVFXなど,いろんな分野で実際にどんな風にノンリニア編集が利用されているか,現場の生の声を紹介している。現在システム導入を検討している方には特に役に立つと思う。今回取材にお邪魔した方々を紹介しよう。

(1)東京医科歯科大学

 まず,医療の現場から東京医科歯料大学第二外料の長内孝之先生。
 先生は大学病院で乳がん,乳腺,消化器疾患を専門に,外来から外料手術そして学会発表と,非常に忙しい人だ。ノンリニアシステムは主に学会発表用ビデオの作成に使用しており,今までに自分の発表分で約20本、医局用で30本,他の先生から頼まれて20本くらいを作っている。
 使用しているマシンは,コンピュータがMacintosh,ビデオボードがTarga2000,ビデオ編集ソフトがPremiere4.2。また,最近では,DVボードのMoto DVとPremiereの組み合わせも使っている。実は先生は医師のためのデスクトップビデオ編集ガイド「マックでビデオ」(医学書院)という本も執筆している。


東京医科歯科大学第二外科の長内孝之先生
本も出しているPremiere使いだ

(2)慶應義塾大学 三田メディアセンター

 コンピュータやマルチメディアを利用した教育では、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスが有名だが,今回は,大学でのノンリニアシステムの利用例を取材するために,三田キャンパスにある三田メディアセンターを訪れた。三田メディアセンターは,今までの図書舘が持つ情報提供機能に留まらず,マルチメディアを駆使した情報の加工生産まで行うことを目的に建てられた近代図書館である。
 三田メディアセンターでは,ノンリニアシステム導入のきっかけや利用方法を図書舘・情報サービス担当の金子康樹さんに伺った。ノンリニアシステムは,Windows NTマシンベース。ビデオボードとしてDVフォーマットを使ったDV Masterを,編集ソフトとしてPremiere4.2を利用している。Web利用も考え,MPEG2のエンコーダも導入している。教育現場での興味深い話が聞けた。

(3)オズボーン

 オズボーンはMacintoshを主体に紙媒体用のデザインを主に手がけているデザイン会社だ。ここに最近導入されたシステムが,SGlの02を使ったノンリニアシステムである。編集ソフトはPremiereを使用し,3DソフトとしてLightWave 3Dも導入している。このシステムを使って,ビデオによるプレゼン資料の作成を始めてからクライアントの受けもいいらしい。


デザイン会社オズボーンのアートディレクター小俣俊司氏

(4)マリンポスト

 マリンポストは,映画向けのタイトルや予告、CG製作マットペイント制作などを古くから手がけてきたプリ・プロダクションの老舗だ。本誌でも何度か紹介されているので,ご存知の人も多いと思う。例えば,映画館で流れている予告編の多くはここで作られている。本編作品としては,モスラシリーズやあぶない刑事,ショムニなどのタイトル作成やCG制作,合成を手がけている。
 以前は,コンピュータはすべてMacintoshで,ElectricImageやAffter Effectsなどを使用していたが,今回お邪魔した時は,コンパックのマシン(DECマシン)がずらりと並びSoftimage 3Dや3D STUDIO MAXががんがんに走っていた。ここ半年間でさらにソフト/ハードがスケールアップしていたので,これを見たときは驚いた。これらを駆使した映像作品は,お正月映画の「モスラ3」で見ることができる。今回は,タイトルエフェクトディレクターの竹内秀樹氏にお話を伺った。


マリンポストのタイトルエフェクトディレクター竹内秀樹氏

(5)BUN SADAKA

 さて,最後にお邪魔したのは,我らがBUN SADAKA氏の制作現場だ。ビデオでは割愛されている部分もあるが,取材では,PerceptionVRと3D Studio MAXを使った制作方法,ハウスのCMでも使ったディスクリート・ロジックのPaint/Effectと3D Studio MAXの連携,CMでの納品形態,お得意のOpenGLボードの話などを熱く語ってもらった。
 BUN氏には忙しい中,今回のビデオで使用する日経CGのロゴも制作してもらった。この辺の話は,彼の連載ページで紹介している。
 ビデオの中のミュージッククリップ編で出演し音楽を提供してもらったのが,BUN氏と笠松美樹,宇高美里の3人のユニット「C60Project」である。この3人の関係は深くは知らないが,詳しくはhttp://www.c60pj.com/を見ていただきたい。チャーミングなお二人の映像がどう仕上がったかは見てのお楽しみだ。ちなみに,BUN氏はミュージッククリップには出てこない。う一む,残念!?


ご存知,BUN SADAKA氏
フライングロゴも作ってもらった
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日経CG1999年1月号