■レスボンスが軽快なDigisuiteLE+Premiere5.1RT

 さて、DigisuiteLE+Premiere5.1RTを使用する機会を得たので、このシステムでの使用感をレポートしよう。
 ビデオの入出力は、オプションのRS232C to RS422変換ケーブルを使用することで業務用のベータカムSPVTRをコントロールしながらデジタイズすることができる。
もちろんバッチデジタイズも可能である(図7)。


キャプチャ

プレイリストによる再生

VTRへのコピー

ファイルコンバート
図7 ●DigisuiteLE+Premiere5.1RT
DigiSuiteに付属のDigiToolsを使用することでVTRの制御を行い、ビデオキャプチャやプレイリストによる再生、 VTRへのコピーなどを行うことができる。 また、ファイルコンバート機能を使えばAVlファイルとTGAファイルの相互のコンバートが可能だ。
 Premiere5.1RTを使った編集はDigisuiteLEのハードにより快適に操作する事ができた。特にありがたいのは、再生スピードのコントロールがリアルタイムでできるため、好みのスピードを何度もやり直しながら設定できる点だ。
また、2チャンネルの2D DVEとアルファチャンネルを使用した合成もリアルタイムで行えるので非常にレスボンスかよく、使っていて気持ちがよい。もちろんディゾルブやワイプも当然リアルタイムで行えるので文句ない(図8)。
ただ一つ残念なのは、アルファキーによるワイプパターンか搭載されていないので、トランジション効果パターンが少ないのと、カスタマイズしたワイプなどのトランジション効果を保存できない点だ。ハード的にはこれらをサポートすることはできるはずなので、プラグインソフトをぜひ改良してもらいたい。
 テロップ制作用にPremiereのプラグインとしてlnscriber CGの上位版TitleMotionをパンドルしており、リアルタイムでの日本語テロップの制作も行える。テロッブはやはりリアルタイムの方がありがたい。
 また今回は未確認だが、Digisuiteには3D StudioMaxやLightwave3D用のプラグインが含まれており、これらのソフトからDigisuiteLEをコントロールし、ダイレクトにDigisuiteのAVlコーデックで圧縮することかできる。その時、アルファチャンネルを含んだ32ビットのファイルを作ることもできる。
 これも未確認なのだが、Discreet Logjc paint、EyeonDigitalFusion、3DStudioMAX、Lightwave3D、Aura、InscriberVideoClipboardなどのソフトにおいてNTSCモニターのWYSIWYG表示をサポートしているとのことだ。このほか、特筆すべきはソフトウェアコーデックを持っているので、Digisuiteが搭載されていないパソコンでも、Digisuiteで圧縮したファイルを使用することができる。これは複数台のマシンを使用して作業をする場合に非常に便利だ。

トランジッションを選択

3次元DVEは付属のプラグインBorisFXで可能

lnscriberCGの上位版TitleMotionでテロップを制作。なお、PerceptionRTにもlnscriberCG(OEM版)が付属している
図8 ●エフェクトとテロップ
DigiSuite LEのトランジションにはティゾルブのほかワイプやタイルが用意されている。
それぞれ数多くのパターンがあり、境界のポーターラインの色や透明度をカスタマイズすることができる。
しかし、カスタマイズしたものを保存することはできない。 これらのティゾルブはシンプルで使いやすいが、面白味のあるパターンは少ない。
アルファキーによるワイプパターンなども搭載してほしい。

■コストパフォーマンスが優れるPerceptionRT+R3DX+VideoActionRT

 Perception RTはPerceptionVR(PVR)と同様のバーチャルファイルシステムを持っている。このため、3次元CG等で使用する静止画のレンダリングの際もPerceptionのコーデックフォーマットを気にせずに使用できるので便利である。ただし残念ながらPerception VRの圧縮コーデックとは異なるので、PVRのデータを直接使用することはできない。もちろん、バーチャルファイルシステムによる変換によって使用できるが、 この際は再圧縮かかかることになる。
 さて、ハードについてであるが、Perception RTはRDR2とRIO2の2枚のボードで構成され、これにより2ストリームのビデオ再生が可能だ。そして、2次元のリアルタイムエフェクトが可能となっている。オンボードにUltraWideSCSlバスを持っており、OSの持つ2GBの最大ファイルサイズの制限を越え使用することが可能だ。これにオプションのR3DXを加えることで、3次元のエフェクトもリアルタイムで使用することかできる。
 ビデオ入出力系は豊冨であり、D1の入出力がついたモデルも用意されている。これらの映像は外部のブレークアウトボックスを使用して接続することができる。
 また、RTで使用されているビデオチップはPVRのものとは異なり、画質面でもアップしているとのことだ。低圧縮時も1チャンネルで最大転送レートが15Mb/秒流せるのでかなりの高画質をキープできる。さらにデュアルストリームなので最高30Mb/秒が流れることになる。解像度もPVRの720×480からD1解像度の720×486になっている。この辺のスペックはDigiSuite LEと同等だが、PerceptionRTの場合D1の入出力や、ブレークアウトボックス、そして3D DVEも標準装備している。
 Perception RTは自社製品であるVideo Action RT(図9)を編集ソフトとして使用する。自社でソフトからハードまでつくれるためハードとソフトの整合性がとれ、バグフィックスも速いようだ。今回使用したシステムは、非常に安定していた。テロップ作成ソフトの定番lnscriberCGが同梱され日本語にも対応しているのも嬉しい。


図9 ●Perception RT+R3DX+Video Action RT 
Video Action RTは扱いやすいVTRコントロールインタフェースを持ち、バッチキャプチャやVTRへのプリントも簡単に行える。

3次元エフェクト

ワイプ


ワーピング

トランジションエフェクトは、非常に豊富で、2Dだけでもかなり面白い効果を付けることができる。R3DXボードを搭載したモデルでは、3次元のトランジションエフェクトも快適に行うことができる。初期設定のトランジションはポーダーラインがきついが、エッジにソフトネスをかけることで、かなり高品位なエフェクトを得ることができる。初期設定ではソフトネスを少しかけた値にした方がよいのでは?

図9(続き) ●Porception RT+R3DX+VideoActionRT
トランジションエフェクトはさらに細かくカスタマイズすることができる。特に3次元のエフェクトの設定は無限にあり、自分に好みのエフェクトを作り出せる。
そして、それらも保存できるので、気に入ったエフェクトを何度でも使用することができる。
 今回使ってみて、2次元、3次元のエフェクトが豊富で、カスタマイズも可能、しかも少しカスタマイズするだけで非常に高品質の工フェクトを得られると感じた。また、ディスク関係のユーティリティソフト(図10)が万全で、使用する際に安心である。
 VideoActionはPremiereと同様によくできたソフトであるが、ハードが優秀なだけに、タイムコードを常時表示させておくなど、もう少しビデオライクなインタフェースかほしい気がする。そして、もう少し高級感のあるインタフェース色にしてほしい。しかし、PerceptionRTは、この価格でバリパリの3次元リアルタイムエフェクトを効かせたビデオ編集ができるのだから、トータルで考えると非常に良くできた、ずば抜けてコストパフォーマンスの良い製品だと思った。
 今回は、リアルタイムエフェクトのできるノンリニアシステムについてお話しした。いかがだっただろうか。ただ、残念ながらPinnacle systemsのPeeltimeの製品版には触ることはできなかった。Peeltimeについては機会があったらお話したいと思う。

ディスクのパフォーマンステスト

セットアップ画面

最適化しているところ

WaveFormアナライザ
図10 ●RT Manager
付属ユーティリティソフトのRT Managerを使用すれば、目的のハードディスクの性能を調べたり、フラグメーションを調べオプティマイズすることができる。また、セットアッフレベルもここでO.OIREに設定できる。そのほか、WaveFormモニターも備えているので、入力映像の状態を正確に知ることができる。
また、ここのプロックアンプ(ProcAmp)を使えば、正確に入力映像の補正もできる。
ただし、このWaveFormモニターは常時映像信号をモニターしているのではなく、トリガーキーを叩いたときの値を表示する。
日経CG1999年3月号
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