図5●VIDEO TOASTER for NTで使われるSpeed Razor4.5SE

ソフトでリアルタイムエフェクトが可能に

 さて,いよいよVIDEO TOASTER for NTについてである。
 VIDEO TOASTER for NTにはいくつかのタイプが用意されるようだわが,まずはじめに登場するのは「VIDEO TOASTER for NT standard」だ。これはハードウエアとしてFrameFactory1/0カード,ソフトウエアとしてLightWave3D,AURA,Speed Razor4.5SEが同梱される。「Speed Razor 4.5SE」は汎用編集ソフトウエアとして知られているSpeed Razor4.5の特別版である(図5)。
 Speed Razorは最近4.0からバージョン4.5にアップしており,この時かなりの機能/性能アップが図られたようだ。例えば今までは不可能だったソフトウエアによるリアルタイムエフェクトが可能になった。これがVIDEO TOASTER for NTに採用された大きな理由だろう。
 FrameFactory 1/0カード+Speed Razor4.5SEでも,プレイバック映像に対してリアルタイムエフェクトやリアルタイムテロップが可能となるようだ。
リアルタイムエフェクトを実現するためには,圧縮コーデックによるビデオ入出力ボードの場合はデュアルストリーム(つまり,2つのデコード用回路)が必要であるが,非圧縮の場合は当然デコード用の回路は必要なく,要求されるのは,必要なデータを流すためのパス幅ということになる。FrameFactory 1/0カードは非圧縮データを2ストリーム以上流せるパス幅を持っているので,Speed Razorなどのソフトウエアとの組み合わせで,リアルタイムエフェクトが可能になるというわけだ。
 また,ソフトウエアによるリアルタイムエフェクトとは,本体のCPUに依存したエフェクトであるから,今後マシンパワーが上がれば同時に使えるリアルタイムエフェクトの数も増えていくことになる。逆に今の状況ではソフトウエアによる3次元DVEのリアルタイム化はちょっときびしいかもしれない。
 このシステムをAmiga用のVIDEO TOASTERと比較すると,ペイント機能や編集機能は揃っているが,Switcher機能が無いことが分かる

システムが完成するのは来年早々に

 実はNewTek社では年末から来年初頭を目標にVIDEO TOASTER for NT Switcherを発売する予定だ(表1)。
これは前出のStandard版にシスターカードとしてSwitcherカードを搭載し,これによりスイッチャー機能が加わる。また,オプションで16チャンネルの入力を持ったブレイクアウトボックスも登場する予定らしい。この時に,スイッチャーソフトもリリースする予定だそうだが,このソフトに編集機能が搭載され,Speed Razorと入れ替わる可能性もあるらしい。
 したがって真の意味でのVIDEO TOASTER for NTが完成するのは年明けになりそうだ。いずれにしてもまだベータ板なので製品版がどのような形になるかはもう少し時間がかかりそうだ。待ち遠しい限りだ。


表1●VIDEO TOASTERを中心としたNewTeckの製品開発ロードマップ

今回はNewtek社のVIDEO TOASTER for NTについて見てきたがまだまだ注目したい製品はたくさんある。
NewTeKからドロップアウトした人が作ったPlay社のTrinityもAmiga版VIDEO TOASTERの生まれ変わりと言えるが,TrinityのノンリニアボードTimeMachineもそろそろ登場しそうだし,SGlのVisual Workstation 540のビデオボードの実力も知りたい。このあたりについても,今後,レポートしていきたい。

日経CG1999年8月号
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