(5)その他周辺機器

 ぜひ用意しておきたいものが、NTSCのビデオモニターだ。趣味で使うのであればテレビを流用しても良いが、仕事で使うならちゃんとしたモニターを用意しよう。調整されたモニターで色を確認しないと何が正しいか分からなくなるからだ。
 モニターの大きさは14インチでも十分だが、大きいモニターを使用すれば、14インチで気づかなかったミスにも気付くことがある。また業務用のモニターにはオーバースキャンやアンダースキャンが付いているモデルかあり、この場合、安全フレーム(テレビに映る範囲)内の映像と全フレームの映像の確認ができる。
 DV映像を再生・記録させるためのDVビデオデッキも必要になるが、これはDVカメラでも代用できる。
 その他に、データのパックアップ用にMOやCD−R、チープバックアップなどがあったら便利だ。DV映像データはデータ量が莫大なので、静止画素材データや編集データはMOやCD−Rに記録させ、映像素材データはDVチーフで保存した方がいいだろう。記憶容量が大きいDVDも転送レートがもう少し早くなれば保存メディアとして十分使用できると思う。

目的と予算を考慮してシステムを組み上げよう

 実際にシステムを構築する場合、目的によってさまざまなパターンが考えられる。ここで、いくつかのパターンを考えてシステム構築の例を考えてみよう。

(1)PowerMacG3のDV端子を利用して趣味でノンリニア編集をしたい

 マシンは決まっているので、編集ソフトを選ぶことになる。もっとも低価格な製品としては、Digital Origin社のEdit DVアンプラグド1.13(1万9800円)がある。これは本格的な編集ができるEdit DVの簡易版だが基本性能はしっかりしている。もっと凝ったことがやりたいのなら同社のEditDVやAdobePremiere5.1(図4)がお薦めだ。Appleで使うのならアップルコンピュータから販売予定のFinalCutPro(図5)も是非使ってみたいところだ。

図4 ●Adobe Premiere5.1 図5 ●アップルから販売予定のFinalCutPro

(2)ノートブックで手軽に編集をしたい

 ノートブックを使って映像編集するにはソニーのVAIOシリーズがお手軽だろう。しかし、旧型機種によってはDV端子が動画に対応していないものやドッキングステーションが必要なものもあるので注意したい。

(3)Windowsシステムを低価格で組上げたい

 Windowsマシンを使用する場合、選択肢はたくさんある。DV入出力ボードとしてカノープスのDVRaptorを使用するシステムもいいし、Mac版から移植されたEditDV(ボードと編集ソフトのセット)も捨て難い。
 DVRaptorはRaptorNaviやRaptorVideoなどのソフトウェアが同梱されており、シンプルで簡単な編集作業が可能だ。オーバ−レイ機能により操作性も良い。さらに凝った編集を行うには同社のDVRaptor専用ソフトRaptorEditを使用すれば、上位機種のDVRexに付属するReEditと同様の編集を楽しめる。もちろんPremiere5.1も使用できる。
 EditDVは本格的な動画編集に対応した編集ソフトが同梱されており、そのままでかなりのことができる。特にCPUにPentiumIIIを使用した場合、PentiumIIIのストリーミング機能を使ってエフェクトのレンダリング時間が高速化される。Macintoshで使うより快適に使えるのはなぜだろう。

(4)本格的なDV編集を目指したい

 本格的な編集を目指す人にはハードウエアコーデックを搭載したボードが必要不可欠だろう。その中でお薦めはカノープスのDVRex(図6)だ。
 DVRexには映像編集ソフトとして専用のRexEditが同梱されている。RexEditは今回バージョンが3.0になりさらなる進化を遂げている。編集作業だけならPremiereよりも使いやすいのではないだろうか。RexEditを使用すれば、エフェクトレンダリングを非常に高速に行える。もちろんPremiere5.1も使用できるので、Premiereによる合成処理も可能だ。オプションのRexfxと組み合わせると3Dトランジションも高速化できる。この時Premiereも高速化される。また、最近RT Engineが発表された。CPUにデュアルPentiumIIIを使用してRT Engineボード(図7)を付け足すことで、すべてのトランジションがリアルタイム処理することが可能になった。
 今後期待できるのはリアルタイムエフェクトのできるDV編集システムだろう。カノープスのRT Engineを搭載したDVRex−RTのほか、99年のSIGRAPHではMatroxからDV2000RTが非常に戦略的な価格で発表された。

図6 ●カノープスのDVRex 図7 ●DVRex-RT

 次回は業務用のDVノンリニア編集の現場で多数使用されているカノープスのDVRex−M1を使用して実際に編集作業をやってみることにしよう。汎用ソフトのPremiere5.1も使用できるので、DVRexに限らず一般的なDV編集で知っておくといいことがお話しできると思う。

日経CG1999年10月号
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