自分でノンリニアビデオ環境を組む場合,何を基準にして選んだらよいのか分からない人も多いことだろう。この悩みに答えるべく,各社から発売されているビデオキャプチャ再生ボードの代表選手を一同に集結させ,波形モニターなどを使用してハードウエアのテストを行うと同時に,添付ソフトウエアやドライバをチェックした。 映像信号のテストには,ソニー・テクトロニクス(03-3448-3010)の協力で,信号発生器のTG2000型,ベクトル波形モニターの1760型とWFM601型,そしてビデオアナライザのVM700Tを使用した。ご協力いただいたスタッフの皆様にこの場を借りてお礼を述べたい。 また,今回はビデオ信号の劣化を総合的に判定できるソニー・テクトロニクスの新製品「ピクチャー・クオリティー・アナリシス・システムPQA200型」を使って,画像診断を断行した(下の「ピクチャー・クオリティー・アナリシス・システムによる画像診断テスト」参照)。 なお,最後に編集部で作成したDVビデオキャプチャ再生ボードの一覧表とMotion JPEGベースのビデオキャプチャ再生ボードの一覧表を示しておいたので,参考にしてほしい。 |
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ピクチャー・クオリティー・アナリシス・システムによる画像珍晰テスト ピクチャー・クオリティー・アナリシス・システムについて説明しよう。 |
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波形,ベクトル,マルチバーストの見方 ビデオキャプチャ再生ボードの画質はどういうところで,判断すればよいのだろうか。まず,重要なのは,ビデオ回路の基本的性能である。これには周波数特性や,色の位相差,信号の遅延,S/N比などがある。また,ビデオ映像信号を圧縮/伸長する際にも映像信号は大きく劣化する。 |
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今回は信号発生器や波形モニター,ベクトルモニターを使って主にビデオ回路の基本性能を調べてみた。 波形モニターではビデオ信号の振幅やタイミングのずれを測定できる。今回はカラーバーの信号とマルチパースト信号を発信し,ボードにキャプチャしてそれを再生させオリジナルと比較することで画質の劣化を観察した。 パースト信号を使用して測定すれば,回路の持つ周波数特性を見ることができる。パースト信号が6つの周波数の信号を含んでいるため,各周波数の振幅の上下で判断する。振幅(波の高さ)が小さくなっていると,解像度が落ちている。 |
リファレンスのマルチバースト信号 6つの周波数を表している。 左から0.5,1,2,3.58,4.6MHz。 |
カラーバーの信号では色による振幅の違いを見ることができる。波形モニターは,オリジナルと見比べて形が変わっていると色のばらつきが出ていることになる。波の高さが変わっていると白や黒のレベルが違うことになる。ベクトルスコープでは,ビデオ信号の色(クロミナンス)成分をベクトルで表示し,色の色相や彩度を測定できる。これもリファレンス信号と比較することで,違いを見ることができる。R,G,B,シアン,マゼンタ,イエローを表しており,すべてについて,モニターの小さな四角い預域に入っていれば一番いい。形が崩れていると,色が違っていることになる。それぞれの結果についてコメントはしていないが,自分の目で比較してほしい。注意してほしいのは,入出力端子。コンポーネント,Sビデオ,コンポジットの順で画質は悪くなる。 | |
MotionJPEGベースのビデオキャプチャ再生ボード ●Cinema Gear (Mac用9万8000円,Win用8万8000円) [テスト無し】 Cinema Gearはインタウェアのビデオキャプチャ再生ボード。Mac用は「Cinema Gear」,Windows用は「Gava」である。Mac用の「Cinema
Gear」は,ビデオの入出力としてコンポジットとSビデオを持っているが,MacのAV機能を一部使用している。このためDAVパスを持ったPower
Mac7500,7600,8500が必要となる。Cinema GearをPCIバスに挿入した後,Cinema GearのDAVパスとMac側のDAVパスを接続して使用することになる。 |
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今回は,Mac版のみ評価したのでWindows版の詳細は分からないが,外観上はDAVパスがないだけでほぼ同じだ。画質性能も同じくらいではないかと推測されるが,価格はWindows版(8万8000円)の方が安い。 さて,Mac版Cinema Gearはフルモーション(30フレーム/秒),フルサイズ(解像度640×480)に対応し,カタログ値で最大転送レート4.0MB/秒(メモリー使用の場合6.0MB/秒)まで対応している。 |
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したがって,一般的なVHSクラスの画質での使用であれば,問題なく使用できるだろう。しかし残念なことに,フルフィールド(60フィールド/秒)には完全には対応していないようだ。 また,Mac版Cinema Gearには簡易編集ができるVizlt Universalが付属する。これを用いることで静止画取り込みや,簡易的な編集ができる。また,500本限定版にはStrata Video Shop3.0Jが付属している。 Strata Video Shopがあれば,通常の編集なら十分使えると思う。インタフェースはPremiereに似ており,すんなりと覚えられる。エフェクト類はPhoshopのフィルタも使えるので,Photshop用フィルタを持っている人はぜひ使ってほしい。また,Premiereには無い映像にモーフィングをかけるフィルタもあるので,おもしろい効果を得られる。 |
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●Win用10万8000円)「テスト無し」 Power Caputure Pro |
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カノープスから販売されているPower Caputure Proは初心者からプロフェッショナルまで幅広く使用できるビデオキャプチャ再生ボードだ。このボードはCCIR601規格の720×480の解像度とスクエア解像度の両方をサポートしており,転送レートは最大7MB/秒が可能だ。ハードウエアによるレンダリングアクセラレーションも可能で,映像の入出力にSビデオ端子を備えているので,高画質なノンリニアビデオ編集をすることができる。 編集ソフトとしてはMedia Stadio Pro5.0Jが付属しており,これだけですべてが揃ってしまう。 それでいて,値投も手頃なので使用用途は広いだろう。ただし,音声の入出力は持っていないので別途サウンドカードが必要になる。 |
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●MEDIA100(Mac用55万円〜) MEDIA100シリーズは,Macintosh用のノンリニアビデオ編集システムとして発売当初から高画質なことで評判が高かった。現在でも映像業界ではその評価は高く,映像業界以外でも企業,学校,病院などユーザー層はかなり広い。テストには,MEDIA100qxを使った。 MEDIA100qx MEDIA100le MEDIA100lx MEDIA100xe MEDIA100xs |
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●TARGA/BRAVADOシリーズ(Win,Mac用価格は表3を参照) 米Truevisionのビデオキャプチャ再生ボードは,AvidのMedia Composerをはじめ多くの映像機器メーカーヘOEM供給されていることが知られている。 |
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日経CG1999年9月号 |