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前回は,映像の制作現場でのMAの作業手順やパソコンを使ったハードディスクレコーダーによるMAの現状,Macintosh用サウンド編集システムの「Pro
TooIs」やWindows用サウンド編集ソフト「Samplitude」の概略についてお話しした。 今回は,Windows用のサウンド編集ソフトSamplitude2496を実際にノンリニア編集システムに組み込んで使用してみたインプレッションをお届けしよう。今回使用した編集システムは,自作したデュアルPentiumマシン(PentiumII/450×2)にMatroxのビデオキャプチャ再生ボード「DigiSuite LE」を組み込んだマシンだ。 |
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■映像と音声のシンク |
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まず,映像とのシンク(同期)についてお話ししよう。これには2つの方法が考えられる。 1つは,映像は外部のVTRを使用し,VTRとパソコン上のオーディオをシンクロさせながら編集を行う方法だ。この方法は,ポストプロダクション(スタジオ)でのMA作業に近い。この場合,VTRをマスターにするかパソコンをマスターにするかは,使用するソフトウエアやシンク用のハードウエアに依存する。 VTRをスレープにするには,そのVTRがSMPTEなどのタイムコードでコントロールできる必要がある。もし,VTRが民生機でこうしたコントロール機能を持っていない場合は,スレーブとしては使用できない。しかし,音声トラックにタイムコードを記録すれば,マスターとしては使用できる。この場合は,パソコン側がVTRに追従する。 |
![]() 上は,今回使用したMIF(MIDI timecode)。MTCとSMPTE(LTC)を相互に変換でき,正確なシンクロナイズが可能になる。下は,WIF(Word clock generater&interfece)。ビデオシンク(ブラックパースト/ハウスシンク)やVlTC,LTCをMTCに変換できるほか,さらに精度の高いWord clockにも変換できる。これらのインタフェース機器を使用することで,Samplitudeは外部の映像機器やシンセサイザーなどのMIDl機器とシンクロナイズが可能となる。 |
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もう1つの方法は,パソコン側で映像と音声を同時に立ち上げて映像を再生させながらオーディオの編集を行うというものだ。パソコンを使っている人には,きわめて当たり前のことに思えるかもしれないが,業務レベルや放送レベルのクオリティでこうしたことができるようになったのはわりと最近のことなのだ。 Samplitude2496では,これら2つの方法を両方行うことができる。外部VTRとシンクさせるには,別にシンクロナイザーと呼ぶ機器を用意する。このシンクロナイザーは,パソコン側から出力されるシンク信号とVTR側のシンク信号(タイムコード)を相互に変換することができるものだ。もちろん,マスターとスレーブを固定すれば,どちらか片方の変換しかできないものでも,使用することができる。シンクロナイザーは,パソコン側の信号の種類こよって,製品を選択することになるが,注意しなければならないのは,シンクロナイザーは非常にデリケートなため,組み合わせによってはうまく動作しない場合もあるということだ。 Samplitude2496はMTC(MIDI Time Code)を利用できるので,パソコン側のMTCとVTR側のSMPTEをシンクさせる独Rosendahl社の「MIF」(販売はフックアップ,03-5256-2853,価格はオープンプライス,実売7〜8万円,図1)というシンクロナイザーを今回は使用してみた。この時,MTCはパソコン側に取り付けたSound BlasterのMIDl出力から取り出した。このシンクロナイザーは,同時に相互変換はできないが,前面のスイッチにより,MTCをSMPTEに変換することもSMPTEをMTCに変換することもできる。シンクに関しても非常に良くできており,アナログVTRの徹妙なシンクの揺れにも見事に対応してきちんとMTCに変換してくれる。非常に高価なシンクロナイザーにも匹敵する 性能を持っているのである。 Samplitude2496は,ソフト上に映像を読み込んで,これを再生させながらオーディオの編集を行うこともできる。当然,パソコン上で編集したものをそのまま利用して,MA作業を行うことができる。 ただしこの時に問題になるのは,Samplitude2496上で映像がコマ落ちなく再生できるかどうか,ということだ。 一般的には,表示ウインドウを小さくするか,圧縮された映像を用いると,問題はないだろう。 今回は,DigiSuite LE上で,問題なく映像を表示しながら編集が行えた(図2,図3)。しかし,Samplitudeは,DigiSuite LEに完全に対応しているわけではないので,NTSC上で確認することはできず,パソコンのRGBモニター上での確認になる(DigiSuite圧縮の映像をRGBモニターにオーバーレイ表示するには,Matorox製の2次元ビデオカードが必要になる)。Samplitude2496が,DigiSuite LEに完全対応してくれればありがたいのだが・・・。 |
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図3●Samplitude 下図のようにRGBモニター上で映像を確認できる。 DigisuiteのNTSC出力に映像を出力できるようになるといいのだが・・・。 ![]() |
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■DigiSuite LEとSamplitude2496を使ったMA作業 |
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Samplitude2496は,24ビット96kHzに対応したマルチトラックレコーダー/マルチトラックエディターである。 |
![]() 図4●本格的なオーディオカードSTUD1/0 |
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![]() 図5●YAMAHA01Vオーディオミキサー |
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■簡単に音楽が制作できるACID 話は少しそれるが,Samplitudeの販売元のフックアップが扱っているソウトにACID(フル機能版のACID
Proが6万8000円,廉価版のACID Musicが2万2000円)というのがある。ACIDは米Sonic Foundryのループ・シーケンシング・ソフトである。このソフトは,あらかじめ用意されたドラムやベース,ギターなどのWAVファイルをルーピンクさせることで音楽を簡単に作ってしまえるもので,音楽制作者の間でも話題になっているソフトだ(図6)。 |
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さて,今回はノンリニア編集システムで組むMA編集環境としてSamplitudeを使って説明したが,いかがだっただろうか?また,機会があったらいろんなソフトやハードディスクレコーダーについても話してみたい。 |
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日経CG1999年6月号 | |||