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デジタル映像技術の進歩は,めざましいものがある。ハードもソフトもここ数年でかなり進化した。ソフトに関して言えば,今まででは超ハイエンドソフトにしか搭載されていなかった機能が,ミドルレンジ,ローレンジの製品にも搭載されてきたし,何といってもハイエンドソフトの価格が下がってきたことはうれしい。 ハードウエアもどんどん性能を上げ,非圧縮モデルが個人ユーザーにも手の届く価格で登場し始めた。今回は,最近の気になるデジタルビデオ関連製品の中でNewTek社のFrameFactoryとVIDEO TOASTER for NTについて注目してみたい。 |
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LightWave3DとVIDEO TOASTER NewTek社と言えば,3Dソフト「LightWave3D」の開発元としてよくご存知だろう。筆者も仕事でいろんなソフトを使用しているが, 3DCGの仕事ではこのLightWave3Dをよく使う。 |
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Amiga版VIDEO TOASTERは革新的な製品だった |
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Amiga版VIDEO TOASTERは,拡張ハードウエアに専用のソフトウエアがバンドルされたビデオ編集システムである(図2)。4チャンネルのコンポジット・ビデオ入力を持ったハードウエアには独自の専用チップが搭載され,ほとんどの操作をリアルタイム処理することができた。 これをコントロールするソフトウエアは「Switcher」,「ToasterPaint」,「Toaster CG(Caractor Generator)」,「LightWave3D」で構成されていた。DVE(デジタルビデオエフェクト),ビデオスイッチャー,クロミナンスFX,ルミナンスキー合成のほか,キャラクタジェネレータ(テロップ)やペインティングも可能で,これにLightWave3Dがバンドルされていた。 VIDEO TOASTERの最大の売りは,専用チップによりデジタルエフェクトをすべてリアルタイムに行うことができ,しかも,入出力のビデオ信号は放送規格のR-170Aを満たしていたことだ。 |
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信号をコンポジットで扱っていたことと解像度がD2と同じことから,メーカーはD2クオリティとも言っていた。このシステムが通常の編集システムの1/10以下の値段で揃ってしまうところが受けて,アメリカを始め世界中で大ブレイク。ケーブルTVなどを始めライブ中継などでもサブ的に使用されていた。 その後デュアルストリーム対応のノンリニアボード「Flyer」が発売され,VIDEO TOASTERと組み合わせることで,リニア編集(テープ編集)のほか,ノンリニア編集も行うことができるようになった。もろろんノンリニア編集でもリアルタイムエフェクトが可能であった。 このころ,デュアルストリームに対応していたノンリニア編集システムは非常にハイエンドなマシン以外にはなく,FlyerとVIDEO TOASTERの組み合わせは,非常によくできていたと思う。 ノンリニア編集を一度リアルタイムエフェクト(スイッチャー)で行うと,もう後へは戻れない,と思ったほど感動したのを憶えている。 こうして振り返るとAmiga版VIDEO TOASTERやFlyerはすばらしいシステムであり,コストパフォーマンスも非常に高かったといえる。しかし,過剰な期待で導入した人には裏切られた人もいたようだ。つまり.Amiga版VIDEO TOASTER+FlyerはQuantel社の「PaintBox」や「Henry」に置き換わるものではなかった。これは価格的にも当然とも言える。 特にDVEの質は業務レベルで使えても放送レベルで使うにはちょっと苦しいところもあった。 |
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VIDO TOASTER for NT登場 |
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Amiga社が倒産し,Amiga版VIDEO TOASTERの将来が不安がられる中で,数年前に一度Windows版VIDEO TOASTERがアナウンスされたことがある。この時のVIDEO TOASTERは,Amiga版と同等の拡張ボードをWindows版に流用するシステムだったが,ハードウエアがAmigaのチップに依存していた点もあり,開発が遅れて,プロトタイプまでは出品したがついに生産されなかった。本当の理由は | |||
NewTek社の経営不振にあったのかもしれないが,これでVIDEO TOASTERはAmiga社と共に氷河期に入ってしまった。そして,今回のVIDEO
TOASTER for NTのアナウンスである(NAB99で発表)。 今回発表されたVIDEO TOASTER for NTはAmiga版VIDEO TOASTERのアーキテクチャとは全く異なり,ハードウエアとしては,しばらく前に発売になった「Frame-Factory1/0カード」を使用する(図3)。そして,このハードウエアに複数のソフトウエアがバンドルされる。 |
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非圧縮ボードFrameFactory |
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すでにご存知と思うが,ここで,FrameFactoryについて少し述べよう。 FrameFactoryは,FrameFactory I/0カードに,3DCGソフトのLightWave 3D Ver,5.6とアニメーションペイント合成ソフト「AURA Ver,1.0」がパッケージングされた製品だ。 FrameFactory I/0カードは,アナログコンポーネントY/C,コンポジットのビデオ入出力ポートを持ったPCIカードである。解像度はD1解像度をサポートする。このカードが扱えるのは非圧縮の映像信号のみで,圧縮しての録画再生はできない。コマ落ちなしで非圧縮の録画再生を行うには22Mバイト以上の転送レートを確保する必要があり,ULTRA WIDESCSIなどのSCSIカードと高転送レートのハードディスク(できればRAID)が別途必要になってくる。 |
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FrameFactoryに同梱されているAURA Ver.1.0はアニメーションペイント合成ソフトで,NewTek社が以前に買い取ったAmiga用のペイントソフト「TVペイント」を元に作られたようだ。ペイント機能のほかに合成や簡単な編集もできる(図4)。非常に優れたツールである。 ところで,FrameFactory I/0カードは,非圧縮の映像データを独自のRTMFファイルフォーマットとして扱う。 LightWave 3DやAURAでは当然扱うことができるが,日本語版FrameFactoryには「Premiere」と「After Effects」用のRTMF入出力プラグインが付属しているので,これらのソフトからでも使用できる。 また,AURAは扱えるファイルフォーマットが多いので,いったんAURAに取り込みRTMFファイルに変換することでリアルタイム出力が可能となる。ただし,FrameFactory I/0カードは現在のところオーディオの入出力には対応していないので,オーディオ入出力のためには別途オーディオカードが必要になる。 また,リアルタイム再生やキャプチャ用にFrameFactoryマネージャーと呼ぶソフトが付属しているが,現段階では外部機器の制御ができないので,タイムコードを利用した再生やキャプチャはできない。今後はこれらのコントロールもできるようになるらしいが,仕事で使うには是非必要な機能なので至急対応してもらいたい。 |
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日経CG1999年8月号 |