映像制作掲載記事

　最近はプロシューマ向けまでのノンリニア編集システムが多かったビナクルシステムズが、業務用から放送レベル向けのビデオ入出力ボードとして投入したのがTARGA3000だ。今回TARGA3000を、コンパックSP750プロフェッショナルワークステーション（PentiumIIIXeon　866Mhz×2、RAM512MB）に搭載し、映像用ディスクBlOS ultraVXR−MTL（SeagateST336704LC　36GB×4台）を使用してテストした。

シングルボードに秘められたハードウエアスペック

　TARGA3000は、D1解像度・非圧縮ビデオプロセッシングでリアルタイム・トリプルストリーム対応のビデオ入出力ボードだが、PCIバス幅64bitのシンプルなボードだ。YUV（4：2：2）、YUVA（4：2：2：4）、RGB（4：4：4）、RGBA（4：4：4：4）の各映像を扱える。RGBAは1ストリーム42MB／sなので、3ストリームで126MB／s流れる。これに加え6ストリームのグラフィックストリームを同時再生できるのだから驚きだ。
　TARGA3000は、DVやMPEG2コーデックの圧縮映像も扱え、2ストリームの動画と7ストリームのグラフィックを扱える（近い将来、ソフトウェアのアップデートで4ストリームの動画をリアルタイムで扱えるらしい）。圧縮映像は非圧縮映像と混在してもリアルタイム再生できる。

０１　TARGA3000ボードは非常にシンプルなシングルボードだが、そこに秘められた枝術力は高い

TARGA3000を支えるHUB3

　膨大なビデオデータを流せる背景に、新開発のHUB3（ハブスリー）プロセッサーに組み込まれたメモリ・セントリック・アーキテクチャーがある。HUB3は5つのA／V入出力ポートを持ち、各ポートが非圧縮のデジタルビデオ信号と8つのデジタルオーディオをサポートする。
128bit（100MHz）メモリ使用時のメモリ・インターフェイスへの帯域幅はDMA（ダイレクトメモリアクセス）により1.5GB／sを有し、理論上75ストリームの4：2：2非圧縮ビデオ映像をリアルタイム転送できる。デジタル映像は8bit、10bit、16bitが扱え、4：4：4：4または4：2：2：4サンプリンクで最大2048×2048の解像度をサポートする。これは将来はHD（ハイビジョン）映像リアルタイム編集の可能性さえ感じる。
　メモリ・セントリック・アーキテクチャーの凄さは、非圧縮映像3ストリームとグラフィック6ストリームに別々にスケーリングやキーイングなどのエフェクト処理をしても、リアルタイム処理が可能なことだ。HUB3内で全データをピクセルアレイとして格納し、すべての処理後に最終データを新たなピクセルアレイとして更新、それだけをビデオフォーマットに変換出力する仕組みだ。膨大な帯域幅が必要なためPClスロット部に64bit幅を採用し、HUB3とのバンド幅は200MB／sの転送スペックを保持している。

０２　TARGA3000の心臓部といえるのがHUB3だ。HUB3はメモリ・アクセス1.5GB／Sの転送能力を持ち、64Bit PCIバスとは200MB／sで接続する