映像制作


■モデラー

 MetaNURBUSが従来の四角形ポリゴンのみ対応から三角形ポリゴンでも対応できるようになったことは、非常に喜ばしい。従来、MetaNURBUSを使用する場合、モデリング途中で三角形ポリゴンができないように注意する必要があったが、それから解放されたわけだ。ついでに、Smoothing Angleも設定できるようになれはもっとよかったのだが・・・。

●オブジェクト(Object)

 設定(Pref)ではプラグインで行っていたユーザー設定をsettingファイルとして一括管理できるようになった。そして、従来のFキーヘの割り当てに加え、独自のショートカットの設定が可能となった(図13)。
 また、英文字入力の際、ウィンドウに直積打ち込めるので、文字の形(種)を確認しながら作業できるようになった(図14)。


図14●ダイレクト英文字入力

図13●ショートカットキー編集

●変形(Modify)

 新しいToolとしてドラッグネット(DragNet)が加わった。これは、ドラッグ(Drag)と磁力(Magnet)を組み合わせたようなツールだ。

●マルチ加工(Multiply)

 新しくナイフツールが追加された(図15)。このツールはとても便利だ。従来は一度つくったオブジェクトに対して、ポリゴンとしての切り込みを入れる場合、ツール(Tool)のドリルのSliceなどを行っていたのが、ナイフにより一発で切り込みを入れられるようになったからだ。これは本当に便利だ。


図15●ナイフツール

●表示(Display)

 従来、背景(Back Drop/旧BG Image)には1種顛のイメージのみ置くことができたが、ver.5.5より3面図おのおのに対し別々のイメージを読み込めるようになった(図16)。また、Pixcel Aspect比を設定できるので、Aspect比の違う画像データの使用が可能となった。
 今回のバージョンアップでうれしい機能として、状態を示すStatisticsウィンドウ(図17)を常に開いておけるようになった点が挙げられる。つまり、Statisticsウィンドウを開いたまま作業ができるのだ。もちろん一度開いてしまえば、変形(Modify)などの他のパネルメニューに移行しても使えるし、ショートカットキーを打てばいつでも呼び出せるのでこれまた便利である。


図16●表示(Display)


図17●常に表示可能なStatisticsウィンドウ

■その他の強力なプラグイン

●デフオーマー

 同名のモデラーの機能をレイアウト上で実現するプラグインだ。これにより、オブジェクトにTwistやShearなどを自由にアニメートできる(図18)。


図18●デフォーマー

●パスフオーマー

 オブジェクトをキーフレームのパスの形に合せて変形させるプラグインだ。

●スーパー・セルシェーダー

 スーパー・セルシェーダーは2次元アニメ調をシェーダーで表現することを可能にしたプラグインだ(図19)。従来のCelShaderの改良版で、Zoneを1〜4に分けて色分けすることで、リアルなセルアニメ調を実現している。


図19●スーパー・セルシェーダーのコントロールパネル(左)とその効果(右)

●モーフギズモ

 複数のモーフィングターゲットを読み込み、これをスライダーを動かして設定するプラグイン(図20)だ。これにより顔の表情をつくるためのモーフィングなど、いままで複雑だった設定がより簡単に行えるようになった。


図20●モーフギズモ

●スケルトンメーカー

 従来、ボーンはレイアウトでのみ組み込むことができたが、これだと、オブジェクトの中心にうまくもっていけなかったり、微妙な寸法の設定が難しかった。今回スケルトンメーカーを使って、モデラー上でスケルトンの位置を定義することができるようになった。

■まとめ

 取り急ぎLW 3Dのver.5.0からver.5.5への主な変更点改良点を述べてきたが、いろんな面でグレードが上がっているのがわかるだろう。しかし冒頭でも述べたように、価格が上がってしまったことはつらいことだ。Ver.5.0からver.5.5へのバージョンアップも日本語版からアップグレードの場合¥6万5800となっている。これが安いか高いかは使う人にもよるだろう。というのも基本的な部分ではver.5.0でも事足りるので、早急にアップグレードする必要はないからだ。
 しかし、もし仕事で使っている人なら、即3.5にアップグレードしたほうがいいかもしれない。というのもレンダリングのスピードがver.5.0のときよりも高速になっているからだ。このことだけでもアップグレードする価値がありそうだ。
 ただ1つ残念なのは、本格的なレイトレースレンダラーの搭載が今回も見送られたことだ(本当はそんな予定はまったくないのかもしれないが)。LW 3Dのレンダリング品質がけっして悪いというわけではないが、CM用に実写合成をする場合など、フォトリアリスティツクな画質が要求されることがある。このような場合、LW 3Dの現在のレンダラーではちょっと苦しいときがある。したがって、筆者はリアリスティックな表現のためのレンダラーを早く搭載してほしいと願ってやまない。もしそうなれば他のソフトは使う必要がなくなるからだ。そうしないと、価格が3D STUDIO MAXに近づいたこともあり、近々発売されるレイトレース搭載の3D STUDIO MAXR2.0の登場でLW 3D離れ?も現れるかもしれない。
 現に筆者の周りでは、LW 3Dをモデラーとして割り切って使い、MAXやSoftimageでレンダリングをするといっている人もいるくらいだ。だから、しばらくはアップグレードしないといっている。LW3Dをこよなく愛する筆者としては、Ver.6.0ではぜひ本格レイトレースレンダラーやラジオシティレンダラーを搭載してほしいと最後に付け加えておくことにする(デイ・ストームの人が読んでくれることを期待する)。

ビデオアルファ1997年11月号