映像制作


■キャラクタージェネレーター

 Adobe Type 1Postscriptフォント、Asianフォントをサポート。カーニングやイタリックなどの各種属性のコントロールを初め、ドロップシャドー、アウトラインはもちろん、文字、単語、段落単位での回転、トランスレート、拡大・縮小などのコントロールが自由に行える。無制限テキストレイヤーによるテキストアニメーション、テキストロール、スクロール機能もある。

■アーカイビング

 D−1、デジタルベータカム、DLT、Exabyte、DATなど、さまざまなバックアップデイパイスにデータを保存することができる。

■オープンアーキテクチャー

 discreetのすべてのシステムと同様にオープンアーキテクチャー、プラグインアーキテクチャーを確立している。ビデオファイルはSGI、TIFF、TARGA、SOFTIMAGE、WAVEFRONT、PICT等のフォーマット、オーディオはAIFFファイルの入出力をサポートしている。サードパーティのプラグインにも幅広く対応し、カスタムプラグインツールSPARKS(図4)により、さらなるエフェクト機能も追加できる。


図4 カスタムプラグインツールSPARKSの各種エフェクト
■KID'SでのSMOKE*導入の経緯、運営状況をうかがう

山田:最近、かなりお忙しいようですね。先日お電話したときには海外ロケだったみたいで・・・。

瀧澤氏(以下敬称略):不景気のなか、ありがたいことに忙しくやらせてもらっています。

山田:実は今日おじゃましたのは、こちらでdlscreetのsmoke*を導入されたということで、どのように運用されているかをお尋ねしたかったのですが・・・。しかし不景気のなか、景気がいいお話ですね?

瀧澤:いやあ、こんなときだからこそ新しいシステムを入れて技術を磨き、新しいクライアントを獲得するとか、既存のクライアントにも喜んでもらいたいと思ったんです。映像に携わっている人は、いかに予算がない場合でもいい作品をつくりたい気持ちには変わりない。できれば、こういうシステムを自分の手元において充分時間をかけて作品を完成させたくもなるんです。

山田:smoke*はinferno*やflame*に比べて安くなったとはいえ、それでも数千万円はするでしょうし。ずいぶん思い切りましたね。

瀧澤:周辺機器やサードパーティプラグインを入れると約3600万円くらいですが、逆のいい方をすればinferno*やflame*に比べればたかだか3600万円です

山田:たかだか3600万円ですか?

瀧澤:しばらく前にポスプロで編集作業をしましたが、結局で3日かかり、けっこうな金額になってしまいました。つまり、年間にポスプロに支払う金額を計算するとかなりの金額になってしまいます。

山田:システムの原価償却とシステム導入による付加価値、年間にポスプロに払っていた金額を比較すると、システムを導入したほうがメリットが大きいということですね?

瀧澤:そのとおりです。もちろん(ポスプロに入っているinferno*やflame*と比べるとsmoke*は)3600万円の限界というところもあります。しかし、一般的な使い方だとまったく問題ないし、必要に応じて使い分ければいいと思います。

山田:なるほど・・・。ところで、smoke*を選んだ理由はありますか?

瀧澤:まず、AvidのIllusionやSoftimage:DSも考えました。特に現在MediaComposerを使用していることもあり、AvidのIllusionは最初に候補に挙げたんです。しかし、映像の合成から考えたら、discreetのほうがいいかなと思って・・・。

山田:smoke*は合成のほかに編集機能も付いているので、コストパフォーマンスもいいですしね。

瀧澤:そのとおりです。演出をしている自分としては合成だけでなく編集の重要性も無視でさません。やっぱり編集にもこだわりたいんです。

山田:ところで、話はちょっと変わりますが、MediaComposerはオフラインで使っていますか?オンラインで使っていますか?
瀧澤:うちのようなプロダクションではオフラインだけに使うのはもったいないので、オフラインとオンラインを臨機応変に使い分けています。Avid(MediaComposer)は現在は12圧縮に対応していますが、3年前に導入したとさは1/3圧縮までしか対応していませんでした。VPやTVの特番では1/3圧縮でオンライン編集を行ってもまったく問題ありません。地方CMも1/3圧縮のオンライン編集まで行っていますが、大丈夫です。うちではMA前の完パケまで行っていますが、1時間ものの特番などは白完まで行って、スーパーやタイトルはポスプロで行ったりします。スーパーやタイトルはTapetoTapeのほうが速かったりもするから・・・。このへんはケースパイケースですね。ただし、全国ネットのCMなど、いわゆるメジャーものはオフラインまでしかやりません。

山田:MAはすべてポスプロで行っているんですか?

瀧澤:そうです。音声の編集は意外と難しいんですよ。それなりの(遮音された)MAルームも必要になりますし・・・。

山田:オンエアーものはそのときD−2に立ち上げてるんですね?

瀧澤:そうです。
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山田:ところで、MediaComposerとsmoke*との使い分けはしていますか?たとえば、合成はすべてsmoke*で行って、合成したものはMediaComposerで編集するとか・・・。

瀧澤:いや、かならずそうとは限りません。smoke*で合成したときはそのまま編集まで行う場合もあります。実は先日、イベント用の映像を制作したときにがく然としたことがあったんです。

山田:・・・?

瀧澤:というのは、このときの映像はマルチ画面用にマルチで制作しており、MediaComposerでつくったところとsmoke*だけでつくったところがあったんですが、大スクリーンに映してみると2つの映像には明らかに画質の差があったんです。もちろん、普通の素人にはわからないと思いますが、つくった本人にははっきりわかりました。


KID'Sに新たに設置されたsmoke*ルーム


以前、ポスプロを利用して制作したCMの合成部分を、トレーニングのためにsmoke*でつくり直したもの。オリジナルとほば同じ仕上がりだそうだ


クライアントヘのサービスを兼ねてsmoke*で制作した3Dタイトル。
入力したテキストを3次元化し、プラグインでフレア効果を付けている


制作プロダクションKID'Sの社長であり、演出家でもある瀧澤正治氏


しばらくトレーニングの意味も含めてクライアントヘ対する
サービス的なところで使用していきたいとのこと


瀧澤氏にインタビューする筆者

山田:smoke*は非圧縮ですし、しかも内部的にはRGB4:4:4で処理しているから合成時の劣化も少なく画質的にはかなり有利ですからね。

瀧澤:比べてみるとその差は歴然でした。

山田:今後はsmoke*はどのように利用していかれますか?

瀧澤:3月に導入してまだ3カ月しか経っていないので、7月まではトレーニングの意味も含めて使っていきます。まだ、完全に使いこなしているわけではないので、お客さんからお金をとるつもりもありません。こんなこともできるんですよ、とまずはサービスみたいなところから始めていくつもりです。

山田:ぜひ早く使いこなせるようになってください。本日はどうもありがとうございました。

太陽電池に付いている製品のロゴを消したところ。従来だと数日はかかった変速移動ズーム画面の修正も、
smoke*を用いることで約3〜4時間で処理できたそうだ

■KID'Sについて

 KID'Sは瀧澤正治氏率いる企画制作会社で、プロダクション業務のほか、2台のAvid MediaComposerと最近導入したdiscreet smoke*を用いてポストプロダクション業務も行っているCM、TV、VP、イベント映像など、その活動範囲は広い。

問い合わせ先:KID'S TEL03(3206)0415
ビデオアルファ1999年8月号