映像制作


●ビンウィンドウで素材を自由に再生し確認できる

 editでの映像の確認やIN点/OUT点の変更には素材用にSV(ソースビュワー)、コンポジット用にTLV(タイムライン・ビュワー)の2つが用意されているが、これらのビュワーを使用しなくともビンウィンドウ内の映像素材を直接再生させることで、映像の確認やIN点/OUT点の変更も簡単にできるようになった。ピンウィンドウでの映像再生も非常に軽快に行うことができるので、作業効率のアップにつながるだろう(図10)。
 また、ビンウィンドウ内のクリップをタイムラインに並べる場合も、Ctrlキーを押しながら選択した順番で一気に並べることもできるようになった。これらも編集作業の効率化に一役買っている。


図10●ビンウィンドウ内の映像素材を直接再生させることで、映像の確認やIN点/OUT点の変更も簡単にできるようになった

●プロジェクトをJob(ジョブ)で管理

 editは1つの作品のプロジェクトをJob(ジョブ)という名称で管理しており、1つのJobで複数のタイムラインを扱うことができる(図11)。また、タイムライン内の映像はコンテナにより、さらにサブタイムラインをもつこともできるので、複雑な映像編集も必要な個所から編集ができ、非常に柔軟性がある。
 タイムラインはopenTimelineにより一元管理することができる(図12)。


図11●1つのJobでは複数のタイムラインを扱うことができる

図12●タイムラインはOpen Timelineにより一元管理することができる

●最高9画面まで可能なアドバンス・マルチカメラ編集

 ミュージッククリップなどマルチカメラで撮影された映像を編集する場合はマルチカメラ編集が便利だ。edit6.0では最高9画面までマルチカメラ編集が可能になった。ここで、V1〜3の3つのビデオトラックでマルチカメラ編集を行ってみよう(図13)。オーディオはA1、A2の2chを使用しているものとする。
 まず、タイムライン上の3つのビデオ映像をマルチカメラソースとしてグループ化し、ビンウィンドウにマルチカメラソースとして登録する。それをビュワーにドラッグして、新規タイムラインを作成し、ソースビュワー内の3つの画面から最初に再生させたい映像画面をクリックし選択する。
 ビュワーを再生させながら、ビュワー内の映像をクリックしていくことで、マルチカメラ編集が行える。
いったん再生が終わると、タイムラインはマルチカメラで編集した順番で切り替わった映像に変わる。


図13●アドバンス・マルチカメラ編集

■オーディオ機能は充分に強化された

 映像編集ソフトの場合、オーディオ機能が軟弱なものも多く存在する。edit6.0ではオーディオトラックの増加やVSTオーディオプラグイン対応、サブフレーム単位のミクシング、自由度のある波形表示など、通常の映像編集に必要なオーディオ機能としては充分な機能強化がなされている。

●オーディオトラック数の強化とリアルタイムミクシング

 最大500まで設定可能なオーディオトラックや48トラックの同時モニターなど、オーディオ機能の大幅な機能アップが図られた。また、オーディオトラックはグルーピングにより調整が可能で、表示も好きな色に指定することができる。ビデオを再生させながらこれらのフェーダーコントロールを行うと、再生音はリアルタイムに調整されるとともにボリュームグラフとして設定される(図14)。


図14 オーディオトラックはグルーピングにより調整が可能で、表示も好きな色に指定することができる

●VSTプラグインに対応したオーディオエフェクト

 デフォルトではオーディオエフェクトの数は少ないが、VSTプラグインに村応したため、オプションで数多くのオーディオエフェクトが使用可能になった。また、これらのエフェクトもkeyframe Editorを使用し、複雑なキーフレームが可能になっている。

■combustionなどとの連携や上位ソフトウェアsmoke/fireとのインテグレーション

 edit6.0では映像合成機能も強化されてはいるが、同社のcombustionなどの合成ソフトと連携させることにより高度な合成と編集が可能となる。さらに、上位機種smoke/fireとのインテグレーションを行えば、smoke/fireを有効に利用できるようになる。

●強力になったcombustionとの連携作業

 edit6.0ではcombustionとの連携作業が強化された。
たとえば、Project IntegrationのTemplate Project(図15)を設定することで、メタデータのみをcombustionに送り込むことができ、combustionとedit間をスムーズに行き来することができるようになった。これによりeditの合成機能の一部のようにcombustionを使うことができる(図16)。


図15 Project lnte−grationのTemplate Project

図16 edit6.0から呼び出したcombuslion

●強力になったcombustionとの連携作業

 edit6.0ではcombustionとの連携作業が強化された。
たとえば、Project IntegrationのTemplate Project(図15)を設定することで、メタデータのみをcombustionに送り込むことができ、combustionとedit間をスムーズに行き来することができるようになった。これによりeditの合成機能の一部のようにcombustionを使うことができる(図16)。


図17出力用のMedia File Formatも多数対応

●smoke/fireとのインテグレーション

 一般的に編集データのインポート、エクスポートはEDLデータとしてやり取りされる。editでも一般的なEDLデータでのやり取りは可能であるが、同社のsmoke/fireとのインテグレーションではAutomated Project Transferによりさまざまなデータをsmoke/fireに持ち込むことができる。これにより、Smoke/fireを有効利用することが可能だ。

■出力用のMedia File Format

 出力フォーマットも一般的なVideo for WindowsやQuick Timeのほか、MPEG1/MPEG2に対応し、Video−CDやDVD映像素材の制作も可能となった(図17)。
MPEG2を出力して試してみたが、レンダリングのスピードも速く、画質的にも問題ないクオリティだ。このほか、Webストリーミング用にWindows Media Formatsにも対応している。残念なことに、現時点ではReal Videoには対応していないが、今後対応する可能性もあるようだ。

■まとめ

 edit6.0は前回のバージョンに比べ格段に進化し、編集作業の効率化や操作性が向上している。一口にいえば、ノンリニア編集ソフトとしての完成度はかなり高いといえるのではないだろうか。しかし今後の課題として、Windows2000やTARGA3000ボードへの対応(年末には予定されているが)などが残っていることも確かだ。新しいOSやビデオボードに対応させることで、ソフトウェアの可能性もさらに追求することができるようになるからだ。

価格:¥500万〜(edit Matrox DigiSuiteLEシステム)、¥835万〜(edit Plus Matrox DigiSuiteシステム)、¥740万〜(edit Plus Pinnacle TARGA2000システム)、¥100万〜(2001年末にサポート予定のTARGA3000への各システムからのアップグレード価格)発売:2001年9月1日 間い合わせ先:ディスクリートTEL03(6221)1818 URL:http://www.discreet.jp
ビデオアルファ2001年10月号