ここ数年のノンリニア編集システムの進歩はめざましいものがある。ノンリニア編集で欠かすことのできなかったMotionJPEG圧縮技術もいまでは非常に成熟した技術のため、各メーカーの技術格差は非常に小さくなったといえるだろう。また、最近ではハードディスクの高性能(高速転送レート)化、大容量化、低価格化が日々進んでいるため、一昔前のように高圧縮(低解像)での編集にこだわることもなく、低圧縮・高画質でのノンリニア編集が手軽に楽しめるようになってきた。 |
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ノンリニア編集システムの近年の傾向 まず、ノンリニア編集システムを大別すると以下の7つとなる。 |
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■DVフォーマットを使用したノンリニア編集システム 民生用のDVカメラの人気もさることながら、最近では業務でもDVカメラにより撮影されるケースが増えてきた。これは、アナログに比べ色のにじみやダビングによる画質劣化が少ないなど、1/5圧縮をしているにもかかわらず高画質を楽しむことができるところによるといえるだろう。また、DVの性能を100%活かすためにはカメラ部の性能の善し悪しも重要になるが、業務レベルにおいてはその性能は充分に楽しむことができ、かつ価格的にも従来のベータカムのカメラよりも安価に手に入るところも起因しているのだろう。 |
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そして、さらに業務用の編集システムを組みたいのなら、Matrox
DigiSuiteDTVやカノープスのDVRex−RT Professionalなどは本格的な編集作業にも応えてくれる。Matrox DigiSuiteDTVは編集ソフトをPremiereからInciteに変えるとさらに操作性を上げることができる。DVRex−RTの上位機種となるDVRex−RT
Professionalは、コンポーネント入出力、9ピンコントロール、バランスオーディオ、オーディオレベルメーターなどが追加され、ピークメーターやオーディオゲインコントローラが搭載された19インチラックマウント対応の本格的なブレークアウトボックスも標準で装備されるなど、かなり魅力的な製品となっている。 このほか、ハードウェアコーデックは持ち合わせていないものの、パソコンにIBMのIntelliStationを採用したDV専用のターンキーシステムとして、Avid XpressDV on IntelliStation M Proが挙げられる。同社のAvid XpressNTのDV対応ソフトウェアを搭載していることで、操作性はもちろんのこと、安心感も得られる。50種頚以上のトランジション効果のほか、ストリーミングビデオヘの出力も備えている。 また、Media100iなどはMotion JPEGのノンリニア編集システムで定評あるシステムだが、DVオプションを利用することで、DVノンリニア編集も行うことができる。操作性はもちろんすばらしい。 |
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■MotionJPEG圧縮コーテックを使用したもの |
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MotionJPEG圧縮のビデオ入出力ボードの画質の差は、高圧縮で比較するとはっきりする。特にブロックノイズの乗り方ではっきりわかる。しかし、最近ではハードディスクの性能が上がり、また大容量化と低価格化により、高圧縮での編集はあまりやらなくなってきた。そのためボードによる画質の差は、表面上わかりにくくなってきたといえよう。1/3以下の低圧縮ならかなり高画質を得ることができるだろう。 | |
しかし、ぜひ理解しておきたいのは、アナログ信号を入出力しデジタルに変えるAD/DA変換部の性能が、画質に影響しているということだ。これは、DVのように安いボードも高いボードも入出力による画質の劣化がないのとは異なることに注意したい。したがって、できるだけ高画質を求めるのならコンポーネント入出力の可能なボードを使用したほうがよい。業務レベルの編集を行うなら少なくともY/C入出力は必要だろう。 さて、Motion JPEG圧縮コーデックを利用したビデオ入出力ボードは最近まで低圧縮・高画質化が進み、製品も出そろった感がある。 そして、業務レベルのものとして、デュアルストリーム(リアルタイムエフェクト)に対応したマシーン化が進んできた。PinnacleSystems TARGA2000、DPS dpsReality、DPSdpsVelocity、Matrox DigiSuiteLE、Media100i、iFinishなどがラインナップされる。これらの上位機種の製品はここにきて非常に落ち着いた感があり、成熟しきった製品群ということになる。とりわけ、新製品の話はあまり聞かない。 さて、これらのリアルタイムエフェクト製品は、基本的には2次元のトランジション効果やDVEエフェクトが標準で搭載されており、3次元エフェクトにはオプションボードを使用して対応できる。どれもすばらしい製品だが、使用できる編集ソフトとしては、TARGA2000、DigiSuiteLEがPremiere、edit、Speed Razorなど、DPS dps VelocityやMedia100i、iFinishには専用の編集ソフトが添付される。 |
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■MPEG2圧縮を使用したもの 最近はDVDが見直され始めたこともあり、MPEG2の圧縮フォーマットを使用したノンリニア編集システムも登場している。MPEG2はフレーム間圧縮を行うのでDVフォーマットやMotionJPEGに比べて高圧縮のわりに高画質が期待できる。フォーマットの性格上、特に動きの少ない映像にはもってこいであるが、動きの激しい映像では圧縮による画質劣化が現れ始める。しかし、映画などの長時間の映像を記録するには画質面を考慮してももっとも優位なフォーマットといえるだろう。 |
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■非圧縮、ロスレス圧縮に対応したもの |
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より高画質を求めるなら非圧縮に対応したものが必要になる。しかし、非圧縮ともなると1秒間の転送レートはYUV4:2:2で21Mバイト/s、RGB4:4:4なら30Mバイト/sものデータ転送量が必要となり、ハードウェアの負担も大きい。そのため、非圧縮に対応したボードではデュアルストリームに対応せず、シングルストリームのものが多かった。たとえば、PinnacleSystemsTarga2000DTXは非圧縮対応だがシングルストリームだ。DSPのdpsVelocityは圧縮から非圧縮まで扱えるが、圧縮時はデュアルストリーム、非圧縮時はシングルストリーム対応になる。NewTekのVideoToasterNTも非圧縮に対応しているが、現在ではシングルストリーム対応だ。近い将来オプションボードの追加でデュアルストリームが可能となるようだ。 | |
一方、非圧縮ではないが、非圧縮クオリティを実現しているのがMatrox
DigiSuiteのロスレス圧縮だ。これはMotionJPEGの非可逆圧縮とは異なり、画質劣化をともなわない圧縮方法だ。この方法だとハードウェアの負担も軽減し、Digisuiteはデュアルストリームでの編集も可能となっている。 これらの製品はどれも登場してしばらく経っており、非圧縮製品群も安定した感があった。しかし、最近とてつもない製品が登場した。PinnacleSystemsのTARGA3000だ。これは非圧縮YUV4:2:2:4(約30Mバイト/s)のほか非圧縮YUVA/RGBA4:4:4:4(約42Mバイト/s)を最大3ストリームの転送が可能だ。また同時にグラフィックストラックスを4ストリーム追加してリアルタイム再生を行うことがでさる。なんともマンモス級のスペックをもったボードの登場だ。 また、DV/MPEG2映像も扱えるので、使用用途の幅は非常に広がる。ただし、Motion JPEG圧縮コーデックはサポートしていない。圧縮を使うならDVまたはMPEG2を使えばいいといった割り切りからだろう。現在対応している編集ソフトはPremiere5.1だけだが、Pinnacle独自のプラグインドライバーによりエフェクト系や画質調整など非常に優れた機能が搭載されている。今後はin-sync Speed Razorやdiscreet editに対応する予定だ。今後台風の目になる製品にまちがいない。 |
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■HDTVに対応したもの HDTV放送をにらんでHDTVに対応した製品も出始めてきた。なんといっても今年のNAB2000で衝撃的な発表はMac用に開発されたPinnacleSystemsのHDTV対応ボードTARGACineである。 |
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■インターネットストリーミングに対応したもの さて、インターネットのブロードバンド化は徐々にではあるが確実に近づいている。既存の電話回線の銅線(メタリック)を使用したDSL通信の場合1.5Mbps程度の速度が可能だ。規制緩和により年内には東京23区内でこのDSL通信が可能になるので、来年度はかなりの世帯にこのDSLを使用したインターネット接続が急増することが考えられる。そうなれば、もうブロードバンドの幕開けといっていいだろう。 |
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ビデオシステムと機材2000-2001 |