映像制作


山田浩之(やまだ ひろゆき)


プロデューサー,デジタルクリエーター

TV番組制作会社でTV,CM,イベントなどのプロデューサーを経て独立。映像,CG,CD-ROM,Webなどのマルチメディア企画制作会社,B-ARTISTを設立。現在,同社代表取締役。映像,マルチメディアのほか,自らデジタルビデオや3DCGをクリエイトする。そのかたわらビデオ専門誌やCG専門誌で執筆活動も行っている。現在,アマチュアからプロまでためになるDV(デジタルビデオ)専門のWeb「DVWorld.net」の立ち上げ準備に追われている。また,人生を楽しむためのポータルサイト「ePlay.ne.jp」も準備中だ,この秋にはアップできるのでぜひお楽しみに。

 今,デジタルムービーが熱い。DVカメラなら撮影した映像をマックに取り込んで,自分オリジナルの”作品”を簡単に作成できる。エフェクトなどの味付けも思いのままだ。
 特にiMacはDVカメラと接続するためのFireWireを備えるうえに,簡単編集ソフト「iMovie2」が付属する。DVカメラを用意するだけで,すぐにデジタルムービーを楽しめる。
 作品を作る上で大切なのは,もちろん編集作業。同時に,編集する素材を集める撮影も重要だ。いい撮影素材がなければ,せっかくの編集テクニックも役に立たない。
 撮影から編集のテクニックまで,デジタルムービーを楽しみながら作品を完成させるコツをまとめた。デジタルムービーの世界を,お楽しみあれ。

■PROLOGUE■
DVカメラの基礎知識を学ぶ・・・知っておきたいDVカメラの仕組み

 道具はその仕組みを知るほど上手に使えるもの。録画ボタンを押すだけできれいな動画を撮れるDVカメラでも,人から上手だね,と言われるためには,カメラの機能や性能を理解して,それを生かした撮影しなければならない。動画撮影のビデオカメラでも,静止画用のデジタルスチルカメラと共通するところは多いので,難しくはない。

■DVカメラの基本メカニズム

 DVカメラのカメラ部分のメカニズムは,レンズと光を電気信号に変換するCCDで構成される。入力した光はプリズムやフィルターでRGB(光の3原色)に分けられCCDで電気信号に変わり,さらにDV形式のデータに変換してDVテープに記録する。
 レンズの後ろにある絞りがCCDに届く光の量を調整する。明るい場所では開口が小さくなり,暗ければ開く。それでも光量が足りないときはアンプで増幅するが,ノイズが増えてしまう。


●3CCDを搭載したDVカメラの基本メカニズム

■適正露出とAE機能

 一般的なDVカメラにはAE(自動署出)携能が搭載されたており露出も自動調整されるので,通常の撮影ではAE機能に任せておけば大丈夫だろう。しかし,撮影場所の光の状洗は必ずしも一定ではない。朝,日中,夜,明るい場所,眩しい場所,暗い場所,逆光,順光,など状況は常に違う。これらの状況に合わせて,しかも自分のイメージ通りの明るさで撮影したいときには,カメラに搭載されたオート露出機能に任せるだけでは不十分な場合がある。最近ではいろいろな状況を想定して複数のAEモードを搭載したカメラもあり,簡単に適正露出を得ることができる。
 さらに露出の調整を行うためには需出補正を使う。AE機能と組み合わせることで,自分が求める明るさで撮影できる。


●露出補正によって明るさを調整できる

■ピントとAFロック

 被写体にピントをぴったり合わせることは,撮影でもっとも大切なこと。一般的なDVカメラにはAF(オートフォーカス)横能が搭載され自動的にピントが合うようになっている。しかし,AFでピントが合うのはファインダー中央部の決められたエリアなので,被写体がその範囲から外れてしまうとピントが定まらない。被写体が大きく動く場合は手動でのピント合わせが必要になる。
 被写体が左右に動くだけで,カメラとの距離が変わらない場合は,ピント位置を固定するAFロックを使う。AFロックは,左右にカメラを振りながら撮影(パニング)するときにも役立つ。


●被写体の位置がフォーカスエリアから外れるとピントが合わない(左2枚)
●AFロック機能を使えば被写体はどこにあってもピントがずれないので,構図の自由度が広がる(右)

■シャッタースピードと紋りの関係

 DVカメラにもシャッタースピードがある。明るいときほどシャッタースピードを速くし,絞りを繰るのは,スチルカメラと同じだ。また,動きの速いものはシャッタースピードが遅いとプレてしまう。絞りを絞るほど,ピントが合う距離の範囲が広がる。
 最近のコンシューマー向けDVカメラでは,撮影するシーン別にさまざまなシャッタースピードや絞りをプリセットした撮影モードを複数搭載している。それぞれのモードの特徴を理解しておくと,演出効果が高い撮影が可能になる。高建で動くものをシャープに撮影するときは,速いシャッタースピードのモードを使い,手前から遠くまでピントが合った絵を掘りたいときは,絞りを絞り込んだモードを使うなど,いろいろな工夫ができる。


●シャッタースピードが速いモードを使えば,スピードの速い被写体でもプレずに撮影できる

■焦点距離による映像の違い

 一般的なDVカメラのレンズはズームレンズが搭載されており,焦点距離が小さい万を広角,焦点距離が大きくなる方を望遠と呼んでいる。被写体は広角側では小さく操れ,望遠側では大きく揺れる。操影できる範朗li広角の場合は広く,望遠では狭くなる。つまり望遠側では披写体が大きいので,少しの手プレでも画面上では大きくなってしまう。
 また,広角では複写界深度が深くピントの合う範囲は広くなり,逆に望遠では複写界深度が浅くピントの合う範由が狭くなる。

●広角と望遠で撮影できる範囲は異なる ●人物を同じ大きさで撮っても写り込む背景の広さが異なる

■ホワイトバランス

 朝夕の光は,日中の光より赤味が強い。また晴天の日の光より,畳り日や日陰の光は育っぽい。照明器具にも色の違いがある。白熱球は赤っぽく,蛍光灯は緑色が強い。どのような光の下でも,人間は白いはずのものを白と見るので,光の色の違いをあまり認識しないが,カメラで掘影すると光の色がそのまま写る。
 これを補正するために,カメラはホワイトバランスという調整機能を搭載している。最近のDVカメラにはオートホワイトバランス横能が付いているので,自動的に調整される。多くの場合はこの自動機能で十分だが,補正できない条件下では,マニュアルでホワイトバランスを合わせなければならない。


●マニュアルホワイトバランスを使えば、より正しい色で掃影できる
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日経MAC2000年10月号