●DigiSuite(Win用89万円〜)
DigiSuite |
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MatroxのDigiSuiteはデュアルストリーム対応のロスレス・ビデオキャプチャ再生ボードである。
DigiSuiteの魅力はなんといってもブロードキャストクオリティの高画質なデュアルMotionJPEGコーデックボードにある。データの圧縮方法にロスレスを用いることで,非圧縮と同等の画質を可能にしている。従来の画像圧縮は圧縮の際に多かれ少なかれ画像データが間引かれる。したがって,どんなにうまく復元しても全く同じデータにはなり得ない。ところが,ロスレスは画像データを間引くことなく圧縮のみを行うため,可逆的に完全な状態に復元できるのだ。もちろん,データを間引かない分圧縮できる限度はあるが,いくらかでも圧縮できればそれによるメリットも出てくる。非圧縮の画質を維持したままデータ量を押さえることができるので,ディスクを有効利用できたり,DVE処理に余裕ができるなど利点は多い。
この魅力的なロスレスコーデックを2系統持っているので,デュアルストリームによるリアルタイム処理が可能となっている。安定した動作を保証するために,ボード上にUltra
Wide SCSIを持ちPC本体のデータの流れとは別にしている。さらに,32ビットDSPを搭載しているので,マルチトラックでのリアルタイムディジタルオーディオミキシングも可能となっている。ロスレス圧縮以外に一般的なMotionJPEG圧縮コーデックも持っているので,使い分けることも可能だ。
また,DVE機能を搭載したビデオ/グラフィックミキサーボードを持っているため,2次元DVEをリアルタイムに処理できる。DVEチップは5つ(1つはαチャンネル付き,4つはαチャンネル無し)搭載されているので多彩な使用方法が考えられる。
映像は,CCIR601に準拠した720×468の解像度に対応し,アナログコンポーネントのほか,オプションでSDIも用意される。非常にハイエンドを意識したシステムである。
DigiSuiteの弟分となるのがDigiSuite LEだ。これは2chのDVEを持ったデュアルストリームボードだ。したがって,DigiSuite同様リアルタイムエフェクトを行うことができる。しかし,DigiSuiteの魅力の一つロスレス圧縮には対応していない。その他は基本的にDigiSuite
と同じである。
DigiSuite.DigiSuite LEとも現在はSpeed RazerMach4.0RTにのみ対応しているが,9月中にはAdobe
Premiere5.0に対応する予定だ。
現在,DV入出力ボードに取り付けられた端子はIEEE1394は,アップルコンピュータが提唱し,米国電子電気技術者協会(IEEE)で制定された規格で,制定前はFireWire(ファイヤワイヤ)と呼ばれていた。このIEE1394は,
(1)伝送速度がUltra Wide SCSI並みであること
(2)信号線が少ないこと
(3)端子がコンパクト
(4)ID設定やターミネータの取り付けが不要
(5)連続的な転送が保証される
などの利点を持っており,ビデオのディジタル転送にはもってこいの規格である。この規格を使用してDV用に開発された最初のボードがAdaptecのAHA8940だ。
このボードを使って各メーカーから販売されているDVキャプチャ再生ボードとしては,DPSのSPARK,ラディウスのMoto DV/Edit
DV,Pro MaxのFire MAXなどがある。また,最近AdapteではAHA-8945という新製品を発売した。これはDV端子以外にUltra
Wide SCSIインタフェースを搭載しているため,ハードディスクの接続にSCSIインタフェースを必要としない。PCIパスを1つしか占有しなくてすむのでコンパクトになるという利点がある。
このAHA-8945を利用して,商品化されたものには,SPARK Plus,Fire Max-2,miroVideoDV300などがある。
これらの製品はいずれも基本的にDV信号の入出力のみを行うため,DVデータをビデオ信号に変換したり,その逆を行う場合は,外部のDVカムやDVデッキあるいはパソコンのソフトウエアによって行うことになる。つまりこれらのボードはソフトウエアコーデックを前提に作られたカードと言える。
ボード上にDV信号のハードウエアコーデックを搭載した製品もある。FastのDV Master/DV Factory,カノープスのDVRex-M1などだ。これらは,いずれもコーデック用のチップとしてソニー製のDVBK-1を採用している。
これらの製品はハードウエアコーデックを採用することで,DVデータをビデオ信号に変換するのにほかのDV機器を必要としない。このため,DVノンリニア編集時の操作性が格段に向上している。使用対象をプロフェッショナルに置いているため,入出力系としてはSビデオ端子やYUVコンポーネントを搭載している。DVカメラの業務用での使用頻度もかなり増えてきているので,今後はさらに普及していくことだろう。
さて,DVキャプチャ再生ボードにおける画質の優劣は,DV入出力のみで考えればほとんど差は出てこないと考えられる。今回の波形測定でもその差はほとんど見受けられなかった。ただし,ハードウエアコーデックを採用したDVキャプチャ再生ボードの場合は,DVデータをアナログビデオ信号に変換するところで映像の違いが出てくる。
DVキャプチャ再生ボードを選択するに当たって何よりも大切なことは,それに付属するドライバやソフトウエアの違いを把握することだろう。同じAdaptecのカードを使っていてもドライバソフトの違いでビデオコントロールができるものとできないもの,バッチキャプチャができるものとできないものがある。添付する編集ソフトも自分に合ったものを見極めたい。
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