ノンリニアビデオ編集・合成ソフト

●加Eyeon社,映像合成ソフトDigital Fusion3.0を発表

 加Eyeon Software社(DPS社の子会社)は,映像合成ソフトの新バージョン「Digital Fusion3.0」を発表した。3.0の大きな特徴は,以前から約束されていたペイント機能を搭載したこと。ペイントした部分は,キーフレームを設定してアニメーションさせることができる。
 また,キャラクタジェネレータとして,「TEXT2000」が搭載された。テキストは3次元で変形させ,スプラインに沿わせたアニメーションを制作できる。
 このほか 合成作業をするフローウインドウでコンポジットメディアを自由に配置することができるようになった。

●カノープス,リアルタイムDVキャプチャ再生ボードの新版を発表

 カノープスは,DV形式の映像データをリアルタイムに編集できるDVキャプチャ再生ボードの新版「DVRex-RT Ver.2.8」を発表した。搭載される専用のノンリニアビデオ編集ソフト「RexEdit」では,ハイクオリティなクロマキー(図6)明るさで合成するルミナンスフィルタ,古い映画のような見た目にするオールドムービーフィルタ,ビデオ信号の波形を見るためのベクトルスコープと波形モニター,SMPTE標準のカラーバー出力に対応した。
 ピクチャ・イン・ピクチャで子画面を表示する位置などをキーフレームで設定できるようになった。そのほかに,DirectXに対応しているデータ形式の音声データを読
み込む機能が追加されている。これらの機能は,以前から予告されたいたものもあるが,今回,その姿を現したことになる。
 同時に発表になった「MPEG2 Engine for DVRex-RT」(図7)はDVRex-RTのオプションドーターボード。DVRex-RTに装着することにより,RexEditのタイムラインからDVデータをMPEG2ファイルに高速に変換できる。変換に要する時間は実尺の約2.5倍という。


図6●クロマキー合成の品質が上がったという

図7●カノープスのMPEG2Engine for DVRex-RT

●in-sync,新キャラクタジェネレータ搭載のノンリニアビデオ編集ソフト

 米in-sync社は,プロ向けノンリニアビデオ編集ソフトの新版「Speed Razor Mach4.8」(図8)を発表した。Widows2000に完全に対応した。新たに,テロップなどを作成するキャラクタージェネレータ「Speed Razor CG」が搭載された。そして,MatroxのMatrox G400Dual Headなどを使用して,2台のディスプレイを使っての編集作業ができるようになった。
 なお,米BOXX社の非圧縮のHDデータをリアルタイムに入出力できるパソコンベースのハードウエア「FusionBOXXHD」(図9)を使用することで,非圧縮のHD(1080i,1080p,1035i,720P)データをSpeed Razorで編集できるようになった。


図8●Speed Razor Mach4.8

図9●HDのデータをリアルタイムに扱えFusionBOXXHD

●米Pinnacle,旧Puffinの映像合成ソフトCommotion Pro3.0を発表

 2000年3月30日にPuffin Designs社を買収したPinnacleは,旧Puffinのデジタルペイント・合成ソフトの新バージョン「Commotion Pro3.0」を発表した。
 Commotionは,MacintoshユーザーをはじめPCユーザーの特にハイエンドクラ
スの人たちに認知され使用されているペイント合成ソフトである。特にメモリーに映像データを展開することで非圧縮のSD(StandardDefinition)やHD(High Definition)の解像度でリアルタイムプレビューできる。この機能は,PremiereやAfterEffectsといったほかのソフトウエアにも大きく影響を与えた。
 今回のバージョン3.0ではデザインが一新され 無制限に扱えるレイヤーによる合成編集,キーフレームアニメーション,テキストツール,モーショントラッキングなど数々の機能が強化された。
 このほかに,マット制作用として「Primatte Keyer」,パーティクルエフェクト用の「Image Lounge」など合計75種類のエフェクトフィルタが追加された。
 Commotion Pro3.0と同時にCommotion DV3.0も登場する予定で,DV編集用に出荷される。Proとの違いはモーショントラッキングができないことと,「Primatte Keyer」,「Image Lounge」などがついていないことである。

●動画を絵画調に自動変換するソフト,日本には6月頃に上陸

 米Synthetik Software社は,動画を絵画調の画像に自動変換できる2次元エフェクトソフト「Studio Artist」(図10)を6月頃から日本で発売する。これは,取り込んだ静止画や動画を元に点描やスケッチ風,油絵風から液体調と,様々な画像を作り出すことができるソフトだ。
 CGでも実写でも,エフェクトをかける元画像を読み込み,好きなタッチの画像に自動的に変換できる。筆のストロークはベクター画像(ビットマップではなく,数式で画像の情報を持つ画像)になっており,ストロークの形の変更や,画像の大きさの変更が可能だ。夏にリリース予定の新バージョンでは,動画のエフェクトの編集機能が強化される。米国内での価格は295米ドル。現在はMacintosh版のみだが,Windows版も計画中とのことだ。


図10●Studio Artist

●米Draco,簡単操作のノンリニアビデオ編集機のラインアップを強化

 米Draco Systems社は,簡単な操作でノンリニア編集ができる専用機の低価格版を発売した。これは編集ソフトとハードウエアが・一体になったもの。トラックボールを使って,キャプチャからビデオ出力まで定型化した手順で操作を進める。外付けのキーボードが不要で,画面上に表示された文字パネルを押しタイトルを入力する。
 自分の手でビデオ制作をやりたいが,ビデオ制作が本来の業務ではないため,簡単にサッサと作ることができるツールを望む人向けである。パソコンを嫌う人向けでもあり,いわば『ワープロのビデオ版』とでもいうべき製品だ。それでもトランジション効果(シーンの変わり目をつなぐ機能)やエフェクト(画面をソフトに見せるなどの特殊効果)などをかけることはできる。
 すでに3995ドルの「Casablanca」という製品をプロシューマなどに向けて約4年前から販売していたが,この4月から「Casablanca AVIO」という製品を家庭や教育用途に向けて出荷した。Casablan-ca AVIOには2機種あり,1495ドル(ハードディスクが13Gバイト)と1795ドル(何20Gバイト)の製品がある。圧縮方式はMPEG2。映像の入出力はアナログコンポジット/S-VHS,オプションでDV。
 今年の秋には,プロフェッショナルやテレビ放送にも利用できるとする4995ドルの製品「Casablanca Kron」を出荷する。
 Dracoの展示スペースの広さは,米Adobe Systemsのブースなどに迫るほどの存狂感があった。ノンリニアビデオ編集のコンシューマへの普及を感じさせた。

DVDコンテンツ・オーサリング・ツール

●DVDとインターネットを組み合わせたインタラクティブコンテンツを制作

 インターネットと放送が融合するトレンドの中にあって,DVDもそのトレンドに乗っている。現在のDVDコンテンツは,DVDプレイヤで再生するものであり,インタラクティブな操作ができるといっても,メニューからほかの映像にジャンプする程度である。
 NAB2000では,ジャンプ先をURLで指定できるDVDコンテンツを制作できるDVDオーサリングソフトが登場している。
例えば,米Sonic Solutions社が「eDVD」と呼んでいるものがそうだ。米SpruceTechnologies社やダイキン工業も同じようなコンセプトを打ち出している。DVDを再生している時に,メニューの中のボタンを押すと,リンクを設定したWebページが見られるようになっている。ただし,再生環境はパソコンに限られる。

●米Sonic Solutions社,業務用の低価格DVDオーサリングソフトを発表

 米Sonic Solutions社は,プロ向けでありながら米国価格で1000ドルを切る低価格DVDオーサリングソフト「DVDit! PE(ProfessionalEdition)」を発表した。従来からあるDVDit!シリーズには,コンシューマ向けで簡単なDVDビデオコンテンツを制作できる「DVDit!LE(LimitedEdition)」と「同SE(Standard Edtion)があった。今回のDVDit!PEは,2ヶ国語放送のように,1つの映像に対して複数の
音声データを割り当てられるマルチオーディオに対応するなど,プロ向けの機能を搭載している。ユーザーインタフェースは,LEやSE版と変わらず,ドラッグ&ドロップを中心としたものになっている。出荷時期は2000年6月。
 インターネット対応を打ち出しており,通常のDVDビデオのメニューで表示されているボタンにURLを割り当てた「eDVD」と呼んでいるDVDコンテンツを制作できる。この場合,再生環境がパソコンに限られるが,DVDコンテンツを再生中にリンク先のWebページを見ることができる。
 ビデオなどのデータをストリーミングで送る「StreamingDVD」と呼ぶコンテンツを作成することも可能。StreamingDVDのコンテンツをネットワーク上に置いておけば,低いビットレートのMPEG2データの映像をインターネット経由で見ることができる。
 将来的には,同社のプロ向けDVDオーサリングソフト「SonicFusion」や「SonicCreator」もeDVDやStreamingDVDに対応するという。

●米SonicSolutions社,HDの映像を格納できるhDVDフォーマットを発表

 Sonic Solutionsは,米REVISENT社との技術協力により,HD(High Defini-tion)の映像データに対応した「hDVD」と呼んでいるメディアフォーマットも発表した。DVD本来の規格からは外れるが,18MbpsのMPEG2形式でビデオデータを表示でき,高品質な映像を再生できる。
HDの1080i,720Pという形式の映像を扱える。hDVDに対応したオーサリングソフトは,2000年7月に出荷される子定。

●日立製作所,映像をDVD-RAMに記録するMPEG2カメラ

 日立製作所は,DVD-RAMにビデオ映像をMPEG2形式で記録できるビデオカメラ「DVDCAM」(図11)を,NAB2000の同社のブース内で参考出展した。
 シングルCDと同等の大きさのDVD-RAMディスクにMPEG2形式でビデオ映像を記録することで,最大2時間の撮影が可能。撮影した画像は,DVD-RAM/ROMドライブを搭載しているパソコンがあれば読み出せる。画質がどの程度になるのかは不明だが,DVDビデオのコンテンツ制作用にちょっとしたビデオ素材を撮影する時に使えそうだ。
 米国での価格は2000ドルを予定。出荷は2000年9月。日米同時に発売される。


図11●DVD-RAMに映像を記録できるDVDCAM
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日経CG2000年5月号