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■はじめに
筆者がMEDIA100V2.5を最初に試用レポートしたのは、'96年の2月号であった。あれから1年ほどたったわけだ。当時MEDIA100を試用したとき驚いたのは、画質の良さであった。今回ももちろんそれには納得した。この画質を支えているのは、なんといってもビデオ圧縮伸張ボードのできの良さにあると思う。YUV4:2:2コンポーネント信号をRGBに変換することなく処理しているので、低いデータ量で高画質、高速処理を可能にしていた。
実はこのビデオボードも当時のVincentから新しくVincent601に代わり、CCIR601に完全対応した。このことで、将来発売予定のTheoのSDI(シリアル・デジタル・インターフェース)を用いた、D−1またはデジタルβカムとのデジタルでのやりとりにおいて、歪みのない完全なデータのやりとりができるようになった。また、最低圧縮比も1/2(xsモデルの場合)まで可能となり、画質面でさらに磨きがかかった。
またボード上にMovie2Busを備えており、今後の拡張において、マザーボードを介さずに信号のやりとりを行うことを可能にした。そのためオンボードのCPUと相まって高速データ処理が可能となっている。
編集ソフトウェアもバージョン3.0となり、バグフィックスやいくつかの機能追加により操作性が向上している。また、今回の目玉の『Gaudi』の登場で、高品位3次元DVEが可能となった。この『Gaudi』はアメリカのピナクルシステム社の3DDVEシステムで評判が良かったAlladimで採用された高品位3DDVEをMEDIA100用としてOEM製造されたものだ。今回はこの『Gaudi』を中心にレポートしよう。
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■MEDIA100xsな諸元
◆ビデオ
4:2:2デジタルコンポーネント信号処理、NTSC最高品位画質300kバイト/フレーム(1/2の圧縮)、コンポジット・Sビデオ・コンポーネント入出力対応、0%セットアップレベル対応、異なる圧縮率の画像情報を混在しての編集可能、32ビットアニメーション(QuickTime・連番付きPICT)のリアルタイム再生と録画、外部同期機能(GENロック・Syncロック)、SCHレベル調整
◆オーディオ
サンプリング周波数 44.1kHz・48kHz(切り替え)、量子化数・16ビット、入力端子 XLR(バランス14dB)・RCApin(アンバランス−10dB)・ステレオ切り替え、8トラック(モノラル)のリアルタイム2chトラックダウン、同一トラックにてサウンドレベルのクロスディゾルブ、再生中のサウンドレベル微調整、プログラムタイムライン上にてサウンドレベル編集、プログラムタイムライン上にて音像定位レベル凝集、ウェーブフォーム情報の表示、サウンドトラックのスクラッチ音を再生するスキャンオーディオ機能
◆効果/トランジション
リアルタイムプレビュー デイゾルプ&ワイプ、50種類を超えるトランジション・エフェクト、リアルタイムColorFX(色調整機能)、リアルタイムModonfX(正逆両方向のトリックプレー)、オンライン性能のフィールドインターポーレーション処理によるMotionFX
◆価格:¥398万
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■Gaudi動作環境
PowerMac9500シリーズ(7500、7600、8500では動作不可)、最低40Mバイト以上のRAM・80Mバイト以上を推獎、17型以上のMac用ディスプレー、24ビットカラーグラフィックス環境必須(カードはATI社XclaimGAを指定)、最低4Mバイト以上の転送レートをもつ外付けHDD(容量は4Gバイト以上必須、高速ディスクアレーを推獎)
◆価格:¥146万
◆問い合わせ先:MEDIA100xs、Gaudiともにイメージアンドメジャーメント TEL03(3365)3641 |
■PR2−8371WPU主な仕様
◆容量:8192Mバイト、使用ドライブ:Sagate ST34371WC、転送レート:17.0Mバイト/S
◆価格:¥80万
◆問い合わせ先:マックステーション TEL03(5276)7981 |
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■使用環境について
まず、今回の使用環境を説明しよう。マシーンは128MバイトDRAM搭載のPowerMac9500/132、ディスクにはProMax社のRaidシステムPR2−8371WPUを使用。そしてこれにMEDIA100の最高機種xsシステムと、3次元拡張ボードGaudiを搭載し試用した。
まず、本題のMEDIA100のレポートの前に今回使用したRaidシステムProMax PR2−8371WPUについてお話ししたい。
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■RaidシステムProMaxPR2−8371WPUについて
このPR2−8371WPUはSeagate社のハードディスクST34371WCを2台使用し、RaidソフトにRemusLiteを用いてストライプ接続している。また、SCSIアクセラレーターとしてAdaptec社の2940UW(最高上限40Mバイト/s)が同梱されている。このST34371WCは最新型のハードディスクで、転送レートが格段に向上している。2台でRaidを組んだ場合のカタログ値は転送レートが17.0Mバイト/秒でSeekTimeは4.0msである。今回、ATTO社のパフォーマンスユーティリティを使用して判定した結果が図1である。旧タイプのST−15150Wに比べてかなりの性能の向上が見られる。
このように、高性能を発揮するPR2−8371WPUはMEDIA100で1/2圧縮を行った際でも、充分余裕をもって使用できた。
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図1●PR2−8371WPUのパフォーマンス測定図
図2●MEDIA100のインターフエース
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■MEDIA100シリーズについて
MEDIA100の商品ラインナップだが、専用ソフトの付属しないMEDIA100qxからMEDIA100xsまで5つのラインナップが用意されている(図3)。これらのハードウェアVincent601はまったく同じものであるが、違いはソフトウェアの機能にある。実のところプロテクトキーを使用し、ソフトウェアにある程度の制限を設けることで差別化しているわけだ。したがって、アップグレードもプロテクトキーにより簡単に行うことができる。制限の内容は図3を参考にしてもらうとして、今回は最高機種のxsを使用してのレポートである。では、さっそくMEDIA100のレポートに移ろう。
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■MEDIA100xsについて
MEDIA100xsは業務レベル、放送レベルでの使用に耐えるように設計されている。したがって、基本的なビデオ編集に必要なものはすべてそろっている。
まず、デジタイズであるが、入力波形を監視しながらデジタイズすることができる(図4)ので、映像の取り込みミスを防いだり、正確に色合わせができる。当然、映像以外に音声のモニターも可能である。もちろんゲンロックも備わっている。
映像はYUVコンポーネントの他Y/Cおよびコンポジットの入出力が可能。また、先にも述べたようにオプションボード『Theo』の追加で将来的にSDIによるデジタル入出力も可能となる。
音声は、バランスとアンバランスを切り替えて2chの入出力をもっている。
ただし、ソフトウェア的には8chのトラックをもっているので、8chのミックスダウンをしながら、出力できる。
IREのセットアップレベルの設定や、ビデオデッキのコントローラーも当然装備されている(図5)。また、今回は試せなかったが、オプションで、JLCooperのMedia
Control Stationも使用できるようだ。これにより、外部ジョグシャトルを用いた高速編集が可能となるようだ。
編集データをテープに戻す際も、テープのタイムコードに正確に戻すことができる(図6)。
編集は、一般的なソフトと変わりなく、Binと呼ばれるメディアウィンドウからタイムラインのProgramウィンドウにメディアをドラッグすればよい。そして、それらの映像に対して、リアルタイムカラーコレクションするColoerFXやスピード可変などのMotionFXをかけることができる(図7)。
Transition効果としてDissolve、Wipe、DVEエフェクトを施すことができる。これらのエフェクトには高速エフェクトであるFast-FX(図8)が含まれており、Vincent601に搭載された、DSPチップにより処理速度を大幅に短縮できる。通常1秒のディゾルプの計算時間は約50〜60秒かかるが、Fast−FXだとVincent601のDSPにより6〜8秒で処理することができる。このDSP処理速度は他メーカーと比べてもトップである。
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(a)
(b)
(c)
図4●波形モニター。(a)コンポーネント、(b)ベクトルスコープ、(c)波形モニター |
図5●Hardware Setting。入出力の設定やデイパイス(デッキ)のコントーロールを行う。また、lREの設定もここで行う |
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図6●master to Tape。テープヘの録画はタイムコードに合わせて正確に行える |
図7●ColorFX/MotionFX |
図8●FAST-FX。これらの効果はリアルタイムプレビューができる。また、Fast−FXのついた効果は高速レンダリングが可能 |
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ビデオアルファ1997年5月号 |