映像制作


●強力な3D合成が可能だ

 combustionは完全な3次元空間で動画合成を行うことができるのが最大の特徴である(図7)。つまり、合成素材を3次元空間に配置し、カメラ、ライトを配置して、アニメーションすることができる。前述した一般的な合成ソフトは2次元合成のため、配置した画像の視点を変えたい場合は、すべての画像を動かさなければならないが、combustionの場合、カメラをアニメーションさせることで、簡単に視点を変えることができる。また、カメラレンズの焦点距離も自由に変えられ、被写界深度も設定できるなど本格的な3次元空間での合成が可能となっている(図8)。
 また、ライトも複数追加でき、レイヤー間に生じる影もレイトレースによりリアルに表現できる。これにより、クロマキーなどで部品撮りした映像素材を、combustion上で配置し、あたかも3次元空間で撮影したように見せることも可能であり、また、3次元と2次元の組み合わせによる独特の面白い効果をつくることも可能だ。


図7 3次元空間に配置したカメラ、ライト、image画像

図8 カメラ設定ではレンズの焦点距離や被写界深度の設定もでき、リアルな表現が可能に

●使いやすい上級機譲りのトラッキング機能

 combustionには優れた機能が多数用意されているが、そのうち最も注目したい1つが上級機譲りの高精度のトラッキング機能にある。そして、このトラッキング機能が非常に使いやすいのだ。
 ここで、簡単なトラッキングを実行してみよう。バックグラウンドレイヤーの動きに合わせてマスクを動かしたい場合を想定する。
 インターフェースからもわかるように、Trackerパネルには簡単にアクセスすることができる。この場合、作成したマスクのTrackerパネルを開き、sourceとして、バックグラウンドクリップ、TrackにPosition(1ポイントの場合)を選び(図9)、Trackerボックスを基準としてふさわしいエリアにセットする(図10)。そして、analyzeボタンを押せば、トラッキングデータを作成してくれる(図11)。計算が終了すれば、トラッキングデータはすぐにマスクに適用される。
 Trackerは位置情報を得るための1ポイントトラッキングのほか、回転や拡大縮小情報を得るための2ポイントスタビライズがある。また4ポイントやそれ以上のポイントを使ったトラッキングも可能となっている。
 トラッキングと対にある機能がstabilize機能だ。スタビライズはカメラのぶれやズーム情報を検出して、画像のぶれをなくした滑らかな映
像に加工してくれる。スタビライズを行うには、画像に1ポイントまたは2ポイントのStabilizeフィルターを追加し基準となるポイントを設定後、Trackerパネルで動きを計算させることで簡単にスタビライズさせることができる。


図9 トラッキングのインターフェース


図10 動きを検出する基準エリアを設定する

 

図11 analyzeボタンを押せば、トラッキングデータを作成してくれる

●キーイングとマットコントロール

  合成作業でかならず必要なのがキーイングとマットコントロールだ。combustionのもう1つの注目したい機能がこのキーイング機能とマットコントロールだ。この機能は他のdiscreet製ハイエンドシステムと100%互換が保証されている。
 キーイングとマットコントロール機能は、いくつかのフィルターとして用意されているが、最も基本となるのがdiscreet keyerだ(図12)。このキーヤーにはブルー/グリーンスクリーンのキーイングとマットコントロールが搭載されており、非常に細かい設定でキーイングが可能となっている。また、マルチビューを用いて、マット情報とコンポジット情報を同時に表示しながら作業をすることで、高度なキーイングをスムーズに行うことができる。
 面白い機能として、2つの画像を比べてキーをつくり出すデイファレンスキーヤーがある。これは、空舞台の映像と人物の入った映像を同ポジで撮っておけば、人物のマスクを簡単につくってくれるという優れものである。けっこう使えるところがうれしい。


図12 discreet keyerでは非常に細かい設定が可能だ
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ビデオアルファ2001年2月号