映像制作


 ノンリニア編集はDVの登場で、最近では非常にお手軽に行うことが可能になった。とはいえ、まだまだ進化しえる可能性も秘めている。今回採り上げる、Pinnacle Systemsの「pro−ONE」は2Dのリアルタイム編集はもとより、高品位3Dエフェクトまでリアルタイムでやってのける(図1)ノンリニア編集システムである。DVノンリニア編集はもちろんのこと、DVDオーサリングまで非常にハイレベルでの使用にも耐えるという。
 今回、日本版の発売に先立ち、すでにアメリカなどで発売されている英語版を試用する機会を得たので、さっそくレポートしてみたい。なお、日本版ではマニュアル類が日本語にローカライズされるほか、バンドルされるPremiere6.0が日本語となる。また、後にも述べるがWindows98SE、WindowsMeに加え、Window2000、WindowsXPにも村応するとのことである。

写真1 Pinnacle Systems Pro−ONE

図1 リアルタイムエフェクト例。
2D/3Dのリアルタイムエフェクトが可能になった

■Pro−ONEについて

 Pro−ONEは32ビットPCIバス フルサイズのボードとブレイクアウトボックスという構造になっている。DVI/Oはボードに6ピンのコネクターが3系統(外部×2、内部×1)付いており、ブレイクアウトボックスを使用することで、コンポジットやY/Cでの入出力が可能になる。また、アナログのステレオオーディオ入出力も付いている。対応OSだが、今回試用した共語版はWindows98SE、およびWindowsMeへの村応となっており、前述したように日本版ではWindow2000とWindowsXPへも対応をする予定である。
 一方、ソフト面ではPro−ONEのもつポテンシャルを引き出すべく、多くのアプリケーションソフトが付属している。まずノンリニア編集ソフトとして、業界スタンダードのAdobe Premiere6.0(図2)がバンドルされ、プラグインとして放送用タイトルとして実績のあるTitleDeko RT、高品位リアルタイム3Dエフェクトを可能にするHollywoodFX RT、高品位2Dエフェクト用のAlpha Magicが付属している。
 また、DVDオーサリングツールとしてPinnacle Systems Impression DVD SEが付属する。Impression DVD SEはAdobe Premiere6.0から出力したMPEG2データ(図3)を使用して本格的なDVDマスターを制作することが可能となっている。このほか、同梱されるPremiere6.0用のプラグインCleaner5EZを使用することでWeb用のストリーミングメディアを出力することができる(図4)。
では、これらの詳細をみてみよう。

図2 Pro−ONE上のAdobe Premiere6.0のGUI

図3 MPEG2データヘ出力することができるほか、さまざまなフォーマットで出力できるが、MPEG2形式で出力することでDVDのオーサリング素材の制作が可能だ

図4 付属のCleaner5EZを使用して、Windows Media、RealVideo、Quick Timeなどストリーミンクメディアヘの出力が可能となっている

■Pro−ONEの各種機能と特長

●同時に最大10までのデジタルビデオエフェクト処理が可能

 Pro−ONEにはAdobe Premiere6.0が付属している。Premiere6.0はリアルタイム編集にも対応し、簡単な合成から映像編集までオールマイティーにこなすことができ、業界スタンダードのノンリニア編集ソフトとなっていることは本誌をご購読の読者はご存知だろう。しかし、単にリアルタイムといっても、これはハードウェアの性能によるところが大きい。Pro−ONEではハードウェアのもつ高いポテンシャルにより、操作性のよいリアルタイム編集を実現している。
 まず、ハードウェアスペックとして2ストリームビデオ+1グラフィック(またはテキストチャンネル)を持ち合わせており、この条件でリアルタイムで2Dトランジションエフェクト、3Dトランジションエフェクトを初めスローモーションコントロールやスケール・パン・回転、イメージコレクションなどをすべてリアルタイムで行うことができる。しかも、同時に10までのリアルタイムエフェクトが可能となっている。このとき、スローモーションコントロール、スケール・パン・回転、イメージコレクションはともに2chに同時に使用することもできる。
 このような優れたリアルタイム性からも、Pro−ONEのエンジンが非常に優れていることがわかる。Pro−ONEは価格面ではDCシリーズを継承しつつも、同社の最上位機種TARGA3000のHUB3のリアルタイム処理に合い通づるコンセプトを感じる。もっともTARGA3000は非圧縮映像を取り扱えるので、Pro−ONEのDVデータとはデータ量で格段の差があるわけだが・・・。
 このようにPro−ONEのもつリアルタイム性能は、編集作業の操作性において同価格帯の他社製と比べて高いアドバンテージをもっているといえよう。

●Hollywood FX RT

 バンドルされているHollywood FX RTは“pagepeel”、“ripple”、“nightline”、“sports block”などの200以上もの高品位な洗練されたビデオエフェクトをもっている(図5、図6)。3Dトランジションエフェクトを初め、3Dオブジェクトを使用したマルチレイヤーエフェクトなどが可能だ。RTになったことで、ほとんどのエフェクトをリアルタイム処理することができるが、画質クオリティーを上げた場合や一部のエフェクトでは若干のレンダリング時間を有する。高速のCPUやメモリーの追加でもリアルタイム性を上げることができるが、基本的にOpenGLに対応しているので、高速なOpenGLボードによりエフェクト処理をアクセラレートさせる(図7)。どちらにせよ、Hollywood FX RTがリアルタイム化されたことで、操作性が格段にあがったことはうれしい限りだ。

図5 Hollywood FX RTは、3D空間で映像を合成している。カメラアングルを変えエフェクト効果を確認できるほか、エフェクトはファクターをカスタマイズしてオリジナルエフェクトを作成できる。ファクターはキーフレーム・エンベロープで制御できる優れものだ

図6 Hollywood FX RTのエフェクト例

図7 OpenGLボードでエフェクト処理がアクセラレートされる

 
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ビデオアルファ2001年11月号